”キーホルダー付き鍵”がのどに… 新型コロナ感染後に死亡も、深まる疑念 「納得できる説明をしてほしい」と遺族

”キーホルダー付き鍵”がのどに… 新型コロナ感染後に死亡も、深まる疑念 「納得できる説明をしてほしい」と遺族

●コロナ禍の病院、外部の目入らず不信感増

家族が疑念を深めたのには他にも理由があった。

大西さんが亡くなる前の9月15日のカルテには「呼吸不全、脱水、肺炎(COVID-19+細菌合併)として対応」と記載されており、大西さんの肺炎の原因が新型コロナだけではないと病院側が認識していたと思われる形跡がみられたためだ。

しかし、死亡診断書の直接死因の欄には新型コロナウイルス感染症とだけ記載され、カルテに書かれていた「細菌」については言及がなかったという。

死因に疑問を持つようになった家族は、キーホルダー付きの鍵が大西さんののどに詰まった経緯や死亡との関係について説明を求めたが、納得できる回答を得られなかった。

病院の説明では、鍵は患者のベッド近くにあった点滴用のフックに掛ける形で管理していたといい、大西さんが最初にのどの痛みを訴えた日の翌9月14日午前3時頃の時点で鍵がないことに担当の看護師が気づいた。

つなぎ服の鍵は患者共通だったため看護師は他の患者の鍵を使って大西さんのおむつを交換したが、病院スタッフの間でその情報が共有されずに、鍵の発見が遅れたという。

大西さんが亡くなった2022年は新型コロナ禍の最中だったため、多くの医療機関は感染防止対策のために外部の人が病院の建物に入ることを制限しており、大西さんが入院する病院も同様だった。

そうした当時の状況を踏まえ、大西さんの息子は次のように話す。

「あんなに大きなものを誤飲するほど親父はぼけてはいませんでしたし、何度ものどが痛いと言っているのになんでちゃんと調べてくれなかったのか。当時はコロナで面会もできず、病院の中の状況が全くわかりませんでした。もしかしたら病院で誰かに鍵を飲まされた可能性だってあるかもしれません。

病院の対応を見ていると、『隠していることがあるんじゃないか』『親父以外にもおかしい状態で亡くなっている人がいるんじゃないか』などと思ってしまうんです」

●病院「鍵の誤飲と死亡の因果関係は認められない」

病院側は鍵の管理状況が不十分だったことを認めて謝罪した一方で、「大西さんが鍵を誤飲した可能性が高い」「鍵の誤飲と死亡との因果関係は認められない」という趣旨の説明があったという。

大西さんは徳島県出身で、大阪に出てきてから一代で印刷関係の会社を立ち上げた。「仕事が趣味だった」(息子談)といい、子どもにはよく「人に迷惑をかけるな」と言っていた。

2022年11月に退院する予定だったといい、家族は自宅をバリアフリー化するなどして帰りを楽しみに待っていた。

「親父は生きることに執着がある人でした。鍵がのどに詰まっていなければ、その状態が数日間放置されていなければ、今も生きていたんじゃないかと思うことがあります。確かにコロナで亡くなったのは本当かもしれないけど、鍵がのどに詰まった原因がはっきりせず、病院側の言うことが二転三転しています。ちゃんと説明してほしい」

関連記事: