離婚を検討する際、離婚後の生活や子供の未来を考えて、一歩踏み出すのは容易ではありません。
この記事では、離婚が適切な場合を考える際の5つのチェックポイントを紹介します。
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1、離婚した方が良い夫婦の特徴は?
(1)気持ちが別れに向いている
①仮面夫婦でも生活が辛い
気持ちが離れていても、仮面夫婦としてなら我慢できるという場合は、離婚をいったん留まり、準備を整えてから離婚するという方法もあります。
しかし、仮面夫婦すら苦痛……という場合もあるでしょう。
仮面夫婦すら苦痛な場合は、もはや夫婦としてのかたちを保つことすら難しいといえます。
例えば、以下のようなケースでは、仮面夫婦としても関係を保てているとはいえません。
夫と友人夫婦を交えて話すときに、夫への不満や言葉や表情に出てしまい、友人夫婦にも仮面夫婦だとばれてしまう
他人と会うときも夫が同席するとあからさまに機嫌が悪くなってしまい、夫がいないときと態度ががらりと変わってしまう
上記のようなケースでは、仮面夫婦ですら無理ということです。早めに婚姻生活に見切りをつけるべきではないでしょうか。
②夫といるだけで精神的に落ち込む
結婚して共に生活している以上、夫と無関係でいることはできません。同居をしていれば家の中で夫と接する機会はあるはずです。同じ空間にいること自体が苦痛なら、もはや夫婦として共同生活を続けるのは絶望的ではないでしょうか。
夫が居間でテレビを見ているだけで嫌な気持ちになる
夫と接すると精神的に落ち込むという自覚があるため、夫との会話や接触を可能な限り避けている
このような状況は、今後ずっと苦しいままで、関係を修復することは難しいのではないでしょうか。
③夫と婚姻生活を続ける気力がない
夫婦双方に、婚姻生活を継続する前向きな気持ちがあればいいのですが、なかには妻と夫の両方、あるいは片方の気力が尽きているケースがあります。
気力がないのに、現在の生活を無理に続けるのは苦痛ではないでしょうか。
より良い将来を共に描けないという点で、お互いの未来にもマイナスとなってしまいます。
例えば、妻が結婚生活や子育ての悩みについて夫に相談しようとしても、夫は「忙しいから」「お前の責任だろ」としか言わないケースがあるとします。
夫には、夫婦で「協力しよう」「助け合おう」とする意識すらないように感じますね。
何度か相談を持ちかけても同じ結果なので、妻はすっかり婚姻生活を続ける気力がなくなってしまいました。
気力が尽きて「無理だ」と感じるなら、人生の1つの転機ではないでしょうか。
(2)家庭環境も離婚した方が良い夫婦のサインになる
妻に心身にリスクがある家庭環境や、妻が一方的に悩ませられるような生活環境の場合は、離婚により悩みやリスクから遠ざかった方が賢明です。
「夫婦の家庭環境」によって、別れた方がいい夫婦は、具体的に以下のような夫婦です。
夫のモラハラや暴力がある
夫のギャンブルや浪費など金銭問題に悩んでいる
夫が浮気や不倫している
それぞれの項目について、詳しくみていきましょう。
①夫のモラハラや暴力がある
夫のモラハラや暴力があるなら、心身を守るために急いで離婚すべきです。
「モラハラ」とは、精神的な虐待のことです。具体的には、以下のような言動が当てはまります。
妻の人格否定をすること
妻を自分のルールに従わせようとすること
妻をしつように責めること など
モラハラに似た言葉として「暴力(DV)」がありますが、DVは、殴る蹴るを想像しがちですしょう。
しかし、モラハラは、他にも以下のような言動も含まれます。
人前で妻を馬鹿にすること
生活費を入れないこと
妻を脅すこと
「自殺する」「死んでやる」などといって問題行動を繰り返すこと
性行為を強要すること など
今は上記のようなモラハラやDVに堪えられたとしても、モラハラやDVが続いたりヒートアップしたりすれば、いずれ堪えられなくなるかもしれません。
モラハラやDVは、ヒートアップする傾向が非常に高くなります。
現段階で心身に被害が出ていない状態なら、今後のリスクも考えて、早めに離婚した方が良い夫婦といえます。
万が一、すでに怪我などの被害が出ているのであれば、すぐに離婚しましょう。
②夫のギャンブルや浪費など金銭問題に悩んでいる
ギャンブルや借金が、決してすべて駄目なものというわけではありません。
夫がお小遣いの範囲内で、パチンコや競馬を楽しむなら、問題ないはずです。
夫婦で話し合って、住宅ローンなどを借りることもありますから、借金も即座に生活状況の問題につながるわけではありません。
しかし、夫のギャンブルの頻度が度を越えているケースや、夫が浪費によりあちこちに借金を作っているケースなどは問題です。
ギャンブルや浪費については、カウンセリングなどで改善できる可能性があります。
夫自身が、ジャンブル癖や浪費癖をカウンセリングなどで改善しようと考えている場合は、様子を見るという方法もあります。
一方で、夫のギャンブルや浪費に、妻が一方的に悩ませられている場合や、夫に改善の気持ちがまったくない場合は、生活が行き詰まる前に離婚しましょう。
自分や、子供の生活環境を守ることも重要です。
③夫が浮気や不倫している
「夫が何度も不倫しており、『もうしない』と謝罪されてもやはり浮気を繰り返す……。」
「夫が不倫しても離婚できないだろうと妻を甘く見て繰り返している……。」
上記のように、夫が浮気や不倫について裏切りを重ねているケースでは、いずれ夫の言動自体が信用できなくなります。
自分以外の異性に触れていることに、精神的な嫌悪感が出てしまうケースもあるでしょう。
人生のパートナーを信用できなくなれば、もはや共同生活は難しいのではないでしょうか。
精神的な嫌悪感があれば、なおさら一緒に生活することは辛いはずです。
タイミングで見切りをつけて、離婚した方が良い夫婦といえます。
(3)子ありでも離婚した方が良い夫婦もいる
子供のことを考えると、離婚に踏み出せないというケースもあります。
妻であると同時に母親でもある女性は、「自分の離婚したい気持ち」と、「子供のこと」で板挟みになってしまうのです。
しかし、なかには、子どもがいるからこそ離婚すべきケースもあるのです。
①子供にモラハラや暴力がある場合
妻に暴力やモラハラがあるケースでは、子供にも同じように被害が出ていることがあります。
子供が殴る蹴るの暴力を受けていると、場合によっては子供の生死に関わります。子供への人格否定や罵倒などがある場合も、子供の心は日に日に深い傷を負うでしょう。
結果として、人格否定などをされ続けた子供は、大人になってからも自己肯定感が低かったり、内向的な性格となってしまったりとマイナスな影響を受ける可能性があります。子供の命や心を守るためも、早急に安全なところに避難して離婚を進めるべきです。
夫婦の問題に関係ない子供へ、八つ当たりのように当たり散らしているようなケースも、子供のために離婚した方が良い夫婦といえるでしょう。
②家庭環境が子供にとってよくない場合
夫が家庭環境のマイナス要因になっているなら、早めに離婚した方が良い夫婦の特徴の1つです。
例えば、妻に何か言われると夫はすぐに不機嫌になってしまい、関係ない子供のことを無視するケースがあるとします。
子供は、父親に無視されたことを気に病み、父親に日々気を遣わなければなりません。
以上のような状態では、子供が気疲れし、心身の不調につながる可能性があります。
本来、心の休める場所である「家庭」が、子供にとっては、心の休まらない場所になっているといえるでしょう。
他のケースとして、夫婦の間に喧嘩が絶えず家庭内が常に緊張状態になっているとします。
上記のようなケースでも、子供の気持ちは休まるとはいえません。
子供のためにも、離婚した方が良い夫婦です。
③子供にとって「父親が良い親(大人)」の見本にならない
「子供は親の背を見て育つ」といいます。
しかし、父親である夫が、「良い大人」の見本にならない場合はどうでしょう。
子供が「良い大人」の見本とならない父親の背を見て育ってしまうと、やがて家族や世間から疎まれる人間に育つ可能性も否めません。
以下のようなケースでは、子供の将来を考えて離婚に踏み切ることも重要です。
夫が外出時や妻に対して高圧的な態度をとり、子供も夫の真似をするようになった
現に夫の態度を真似るようになり学校で問題になったり、友人関係でトラブルが起きたりしている
早めに離婚することで、子供も良い方向に変わるかもしれません。
(4)健康面に影響が出ているなら離婚した方が良い夫婦
夫の言動により、「妻の健康に影響が出ているか」も離婚した方が良い夫婦のチェックポイントです。
離婚するかどうか迷っている場合、心身に具体的な影響が出ている場合は、早急に離婚を検討しましょう。
特に、早く離婚した方が良い夫婦は次のふたつのケースです。
夫の暴力により怪我を負った場合
うつ病など心に影響が出ている場合
①夫の暴力により怪我を負った場合
夫に暴力をふるわれて怪我を負ったケースや、何度か病院で治療しているケースなどは、身や命の安全を優先すべきです。
すでにお話しした離婚した方が良い夫婦は暴力やモラハラで心身の不調が出る前のケースでしたが、こちらは具体的に被害が出てしまっているケースになります。すでに怪我などの被害が出ているのであれば、体と命を守ることが重要です。
安全な場所に避難し、病院から診断書を受け取るなど離婚の準備を進めましょう。夫と離婚について話すことが怖い場合は、弁護士に相談すると間に入ってもらえます。
②うつ病など心に影響が出ている場合
夫のモラハラなどにより、心の不調が現に起きている場合は、早めに離婚した方が良い夫婦といえるでしょう。
心の不調を抱えたまま結婚生活を続けると、不調が悪化したり、心以外にも不調が出てきたりする可能性があるからです。
暴力により怪我をしたケースと同様に、病院などで治療を受けている場合は、診断書をもらっておくといいでしょう。
離婚の際は、弁護士に間に入ってもらうことも可能です。
(5)離婚した方が良い夫婦で離婚準備ができている
離婚へなかなか一歩踏み出せないのは、離婚後の生活が不安だからではないでしょうか。
しかし、離婚後の生活準備ができていれば、環境が変わる不安はあっても、生活面への不安は少ないはずです。
離婚するか悩んでいるときは、離婚準備が整っているかどうかで決断することも、方法のひとつと考えられます。
離婚準備が整っていれば、すぐにでも離婚を進めましょう。
離婚後の準備ができていない場合は、早速準備を始め、離婚の準備ができた段階で、夫に夫婦の終わりのサインを出すのです。
2、離婚した方が良い夫婦がしておきたい離婚準備4つ
離婚した方が良い夫婦の中でも、離婚準備が整っている場合と、離婚準備に不安が残る場合があります。
離婚準備が整っていれば、問題はありません。すぐにでも夫へ離婚を切り出しましょう。
離婚準備が整っていないために離婚に踏み切れないときは、どのような準備を優先して行うべきかが問題です。
離婚前に整えておきたい準備は、以下の4つになります。
お金
住居
養育費や慰謝料
「気持ち」の準備
上記の他にも、通院や子供の学区が変わるなどの事情があれば、離婚後の通院先探しや、子供の転校先の準備などもしておきましょう。
離婚後すぐに、「可能な限り普通に生活できる状態」へ準備しておくことが重要です。離婚のことや、離婚準備のことで迷ったときは、弁護士に相談することをおすすめします。
(1)離婚後の「お金」の準備
離婚後に先立つものはやはりお金です。
離婚して夫婦の道がわかれても、生活するためには「生活費」が必要です。子ありで妻が親権をとるなら子供の生活費や教育費も考えなければいけません。
総務省統計局「平成26年全国消費実態調査」によると、子供がひとりの母子家庭1ヶ月あたり平均生活費は、約19万円になっています。子供の人数や生活状況によっても、生活費の目安は変わりますので、現在の月の支出からも、自分や子供の生活費にいくらかかるか試算してみるといいでしょう。
専業主婦の場合は、離婚後の収入も問題になります。離婚に合わせて就職先を探すなど、収入源を見つけておくことも重要です。他にも、自治体の窓口へ、児童扶養手当など母子家庭の支援制度について確認しておきましょう。
(2)離婚後の「住居」の準備
離婚のために重要な準備のひとつが、住む場所を用意することです。
離婚して家を出ても、住む場所がなければ、住居探しからはじめなければいけません。 しかし、すぐに新しい家が見つかるとは限りません。最低限、離婚直後に住むところは決めておきましょう。すぐ生活できるように住居内も整えておくと、離婚後の生活がさらに楽になります。
離婚時期を決めていて住居も決まっているなら、離婚後の生活のベースとして不足がないように、家の中を整えておきましょう。離婚前に、生活用品や私物、家具などを少しずつ運んでおくことも1つの方法です。
(3)離婚時の財産分与、養育費や慰謝料について決める
離婚するときは、財産分与や親権、養育費など、離婚条件について決めます。離婚後は、夫婦として生活するわけではないため、夫婦で築いた財産などを夫と妻で分ける必要があるのです。
子供がいる場合は、夫と妻どちらが親権を持ち、子供を育てるための費用(養育費)をいくらにするか、どのように支払うかなども決めなければなりません。
夫婦が離婚自体に同意していても、離婚条件で同意できず揉めるケースもあります。揉めそうなときや、条件で迷うときは、弁護士に間に入ってもらうとスムーズです。
(4)離婚は「悪いことではない」という気持ちの準備
離婚した方が良いと思っていても、「離婚は悪いことではないか」などの思いから、実際の離婚に踏み切れない人も少なくありません。離婚する際に罪悪感を覚える場合は、「離婚は悪いことではない」と、自分の気持ちを整理しましょう。人生の転機や事情に合わせて人と人が縁を作り、時に離れる必要があるということは、よくあることです。
婚姻届を提出した関係でも、人生の転機に合わせて、離婚を選ぶ夫婦は少なくありません。今の関係を一生続けなければならないというルールは、ないのです。
離婚は、新しい人生の出発点ともいえます。自分が納得できる人生を歩むためにも、「離婚は悪いこと」という意識にとらわれないようにしましょう。お互いの人生をより良いものにするために、第一歩を踏み出してください。
配信: LEGAL MALL