「てんかん」を発症したときの対処法はご存じですか? てんかん発作が出たときの対応や周囲がサポートについても「スガノ脳神経外科クリニック」の菅野先生に解説していただきました。
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監修医師:
菅野 秀宣(スガノ脳神経外科クリニック)
1992年順天堂大学医学部卒業、順天堂大学医学部脳神経外科入局。1997年アメリカ国立保健研究所研究員、1998年アメリカ海軍医学研究所研究員、2003年東京都立神経病院脳神経外科医員、2009年順天堂大学医学部脳神経外科准教授、2018年順天堂大学医学部附属順天堂医院てんかんセンター長、順天堂大学医学部脳神経外科先任准教授。日本脳神経外科学会 専門医・指導医、日本てんかん学会 てんかん専門医・指導医・迷走神経刺激療法認定医、日本臨床神経生理学会 脳波専門医、小児慢性特定疾病認定医、指定難病認定医、東京都身体障害者福祉法第15条指定医。
編集部
てんかんの発作を起こしたら、一体どうしたら良いのでしょうか?
菅野先生
てんかん発作にはいろいろなものがあります。けいれんや意識障害が起きたときは、自分では対処することができませんから、周囲の人の介助が必要です。一方、体の一部がひきつる、ピクッとする、急に体の力が抜けるなどの発作が起きたときには、あとで発作の状態を記録しておくと、その後の治療に役立ちます。
編集部
周囲の人はどう介助すれば良いのでしょうか?
菅野先生
まずは落ち着いて行動し、道路や階段など危険な場所にいるときには安全なところへ移動させましょう。体を横にして、周囲の危険物を取り除き、二次的な外傷を防ぎます。
編集部
その後はどうしたら良いでしょうか?
菅野先生
全身にけいれんが起きたとしても、一般的には1分前後でおさまります。もし5分以上発作が長引く場合には救急車を呼びましょう。また発作が一旦収まっても、実は症状がずっと続いていることもあります。30分くらい意識が戻らない場合も、救急車を呼びましょう。発作のあとはゆっくり休ませ、脳に休息を与えることが大切です。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。
菅野先生
数年前、てんかんの人が車の運転をしていて事故を起こしたということがニュースになり、注目を集めました。「てんかんの人は車を運転してはいけないのか?」ということをよく尋ねられますが、実際は適切な治療をすれば車を運転することは可能です。そのほか女性であれば出産や育児をすることもできます。ぜひ、てんかんに対して否定的な考えを持たず、積極的に適切な治療をして、充実した日常生活を送ってほしいと思います。
※この記事はMedical DOCにて【「てんかん」になりやすい人に特徴はある? てんかん専門医が解説 年齢・性別問わず発症の可能性も?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC