監修医師:
佐伯 信一朗(医師)
兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学病院産婦人科、兵庫医科大学ささやま医療センター、千船病院などで研鑽を積む。兵庫医科大学病院産婦人科外来医長などを経て2024年3月より英ウィメンズクリニックに勤務。医学博士。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会健康スポーツ医、母体保護法指定医。
子宮頸管ポリープの概要
子宮頸管ポリープは、子宮頸管の内膜から発生する良性の腫瘍性病変です。通常、柔らかく赤みがかった色をしており、大きさは数ミリメートルから数センチメートルまで様々です。多くの場合、茎(ポリープの根元部分)を持ち、子宮頸管内や外子宮口付近に存在します。
子宮頸管ポリープは比較的一般的な婦人科疾患で、全女性の約2-5%に発生すると報告されています。特に30歳から50歳の女性に多く見られ、閉経後の女性にも発生することがあります。多くの場合、単発性ですが、時に複数のポリープが同時に存在することもあります。
子宮頸管ポリープの多くは無症状ですが、不正性器出血や帯下の増加などの症状を引き起こすことがあります。また、まれに悪性化する可能性もあるため、適切な診断と管理が重要です。
子宮頸管ポリープの原因
子宮頸管ポリープの正確な原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
ホルモンバランスの変化が主要な原因の一つとして挙げられます。特にエストロゲンの影響が大きいと考えられており、エストロゲンレベルが高い状態が続くと、子宮頸管の内膜細胞が過剰に増殖し、ポリープを形成する可能性が高まります。このため、妊娠中や経口避妊薬を使用している女性にポリープが見られることがあります。
また、慢性的な炎症も子宮頸管ポリープの形成に関与している可能性があります。子宮頸管や腟の感染、特に性感染症などによる持続的な炎症が、ポリープの発生を促進する可能性があります。
遺伝的要因も関与している可能性があります。一部の研究では、特定の遺伝子変異や多型が子宮頸管ポリープの発生リスクを高める可能性が示唆されていますが、まだわかっていないことも多いです。
加齢も重要な要因の一つです。年齢とともに子宮頸管の細胞に遺伝子変異が蓄積し、それが異常な細胞増殖を引き起こし、ポリープ形成につながる可能性があります。
これらの要因が単独で、あるいは複合的に作用することで、子宮頸管ポリープが形成されると考えられています。しかし、個々の症例でどの要因が最も重要であるかを特定することは難しく、多くの場合原因は特定できません。
配信: Medical DOC