胆嚢がんの前兆や初期症状について
胆嚢がんの初期では特有の症状が現れることが少ないため、症状から早期の胆嚢がんを発見することは難しいです。
しかし、がんが進行するにつれて以下のような症状が出現することがあります。
症状がみられた際には消化器科(消化器内科)を受診しましょう。
黄疸
胆汁の通り道である胆管が腫瘍によって閉塞することで、胆汁の排泄ができなくなり起こります。
黄疸が発生すると、皮膚や眼球の白い部分が黄色くなります。
また、尿が濃く褐色になったり、便が白色やクリーム色になったりすることがあります。
黄疸が進行すると皮膚のかゆみやだるさ、食欲不振がみられることがあります。
発熱・腹痛
腫瘍によって胆管が閉塞し、滞った胆汁に感染が生じると、胆嚢や胆管に炎症が起こります。
発熱とともに右上腹部や、みぞおちの痛みが出現することがあります。
胆石発作
胆嚢内に胆石があった場合、胆嚢の出口を塞いでしまうことや、細菌が感染してしまうことがあります。
その際に右上腹部の痛みが起こることがあります。
多くの場合は胆石症ですが、胆嚢を切除した際におよそ1%程度で胆嚢がんが見つかることがあります。
胆嚢がんの検査・診断
胆嚢がんを疑った場合は、以下のような検査を行うことで診断をします。
がんと診断するだけではなく、その進行度(病期)や、手術による切除の可能性も評価します。
血液検査
胆嚢がんを疑った場合にまず行います。
血液検査では主に肝臓の機能を反映するAST、ALTと、胆管の状態を反映するアルカリホスファターゼ(ALP)、γ-GTP、ビリルビンの値を測定します。
また、診断の補助として、いくつかのがんによって上昇するがんマーカーであるCEA、CA19−9の値も測定します。
腹部超音波検査
外来にて簡便に行うことができる検査であり、胆嚢がんや胆石発作を疑った場合には血液検査とともに行われることが多いです。
肝臓、胆のう、胆管の異常や、胆汁の閉塞、腫瘍の存在を評価することができます。
腹部CT検査
血液検査、腹部超音波検査で胆嚢がんを疑った場合には続いてCT検査を行います。
造影剤を用いてCT検査を行うことでより詳細ながんの場所、広がり、リンパ節への転移の有無、血管との関係性を評価することができます。
また、CT検査は肝臓や胆管だけでなく、胸部や腹部全体を撮影することで、他の部位への転移の有無の確認も可能となります。
MRI
MRIは、強力な磁場と電波を利用して体内の臓器や組織を詳細に描出する画像診断法です。
胆嚢だけでなく、胆管および膵管の詳細な画像を取得できます。
MRIは非侵襲的であり、造影剤を使用せずに胆管内の閉塞や狭窄の有無を評価できるため、患者に対する負担が少ない検査方法です。
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)
内視鏡(胃カメラに似た口から挿入するカメラ)を用いて、胆管の出口である十二指腸乳頭部から造影剤を用いて胆管の形や閉塞の程度を評価することができます。
黄疸の症状がみられる場合は一時的に黄疸を改善させる(減黄)目的にチューブを留置することで胆汁を排出する処置を同時に行うことが多いです。
これらの処置を行うと同時にがんと思われる部分の組織を採取(生検)して、がんの確定診断をつけることができます。
配信: Medical DOC