ユーイング肉腫の治療
ユーイング肉腫の治療は、特に限局性と呼ばれる病変が発生した部位のみにとどまっている状態では根治を目指して化学療法、外科手術、および放射線治療を組み合わせた集学的治療が主流です。
他の部位に転移している状態では化学療法を主体にほかの治療を組み合わせながら治療を行います。治療の選択肢は、腫瘍の大きさや位置、転移の有無、患者さんの年齢や体力といった全身の状態などを考慮して決定されます。
化学療法
ユーイング肉腫は化学療法に対して高い感受性を持つため、治療の中心となります。多くの場合、診断直後から化学療法が開始され、腫瘍を縮小させることで外科的切除を容易にします。主要な薬剤としては、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、イホスファミド、エトポシドなどが使用されます。治療は通常、複数の薬剤を組み合わせたレジメンで行われ、6ヶ月から1年以上続くことが一般的です。
外科手術
手術は、可能な限り腫瘍を完全に切除することを目的とします。切除範囲は腫瘍の大きさや浸潤の程度によって異なり、場合によっては機能温存のための再建手術も必要となります。四肢に発生した場合、従来は切断手術が一般的でしたが、近年では機能をできる限り保つための切除と再建が進歩しています。
また、手術だけでは取り切れない場合や、機能や形態を温存したい場合などでは後述の放射線治療と組み合わせる場合もあります。長期的な生活も見据えて相談しながら治療方針を決定していきます。
放射線治療
放射線治療は、腫瘍の局所制御に有効であり、特に脊椎などの手術が困難な部位や完全切除が困難な場合に用いられます。他にも機能や形態の温存のために選択する場合もあります。また、手術後に残存腫瘍がある場合や、再発のリスクが高い場合にも手術後に追加されることがあります。
ユーイング肉腫になりやすい人・予防の方法
ユーイング肉腫のリスク因子として、明確に特定されているものは少ないですが、前述のように後天的と考えられる遺伝子異常が強く関与しています。したがって、現時点でユーイング肉腫を予防する明確な方法は確立されていません。家族歴がなく、一般的な生活環境では予防が難しい腫瘍であるため、定期的な健康診断や症状が現れた場合の早期受診が重要です。
特に、長期間にわたる原因不明の骨痛や腫れを経験している場合は、早急に医療機関を受診することが推奨されます。早期発見と迅速な治療が予後を改善するための鍵となります。
参考文献
がん情報サービスEwing肉腫:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
National Comprehensive Cancer Network Guidelines Soft Tissue Sarcoma ver2.2024
配信: Medical DOC
関連記事: