黒目が擦りむけた状態になる「角膜びらん」どのように治療するのか医師が解説

黒目が擦りむけた状態になる「角膜びらん」どのように治療するのか医師が解説

監修医師:
柳 靖雄(医師)

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

角膜びらんの概要

角膜びらんは、いわゆる黒目の部分の表面を覆う角膜において、その一部分が損傷を受けてはがれ、眼に違和感や痛みなどの症状が出現する病気です。角膜は表面から上皮層、実質層、内皮層の3層構造になっており、角膜びらんは最も表面の上皮層が欠損した状態を指します。

主な原因は外傷や異物の侵入ですが、角膜ジストロフィーや春季カタルなどの眼疾患、感染症などに伴って発症することもあります。その他、加齢や糖尿病などの全身疾患も角膜びらんのリスクを高める要因となります。

治療には抗生物質の点眼や眼軟膏を利用します。改善が見られない場合は、損傷した角膜上皮を除去し、専用のソフトコンタクトレンズを装着して治療することもあります。

角膜びらんは「眼の擦り傷」のようなものです。症状は一過性のことが多く、適切な治療を施せば数日で治癒します。ただし、一部のケースでは、軽度な刺激でもびらんを繰り返してしまう「再発性角膜上皮びらん」に移行することがあります。再発性角膜上皮びらんは、角膜上皮の接着性が不十分なためにおこると考えられています。

角膜びらんを繰り返さないためには、日頃から目をこすらないようにすることやコンタクトレンズ等を適切に使用することが大切です。

角膜びらんの原因

角膜びらんは、外傷、感染、疾患などの要因により角膜が損傷することで引き起こされます。
多く見られる原因は外傷で、眼に異物が入ったり、指の爪や紙の端で眼をこすったりしたときに発症することがあります。粉塵や飛沫が目に入りやすい環境では特に注意が必要です。
ウイルスや細菌感染も原因となり得ます。コンタクトレンズの不適切な使用や長時間の装用は、角膜びらんの発症リスクを高めます。

ドライアイ、あるいは角膜ジストロフィーや春季カタル、糖尿病などの疾患も、角膜を弱くさせ、びらんを合併させる原因になります。

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