【外食の冷凍食品】ジョイフル 店舗の味にこだわって展開、試食販売を強化、リピーターの獲得にも寄与

【外食の冷凍食品】ジョイフル 店舗の味にこだわって展開、試食販売を強化、リピーターの獲得にも寄与

外食企業の中でもいち早く冷凍食品に着目し、展開を強めるジョイフル。店舗の味にこだわり、調理のひと手間がかかるとしても品質を落とさない商品開発を進めており、販売は着実に伸び続けているという。ジョイフル商事の松本和雄課長に今後の展開などを聞いた。


ジョイフル商事の松本和雄課長

――今の冷凍食品市場については。

ニーズは付加価値需要と日常使いに分かれてきていると感じる。冷凍食品は高い品質を持ちながらも、値ごろ感のある市場として支持されていたと思う。そのため、コロナ禍以前は日常食として良く活用されていて、贅沢をしたいときは外食に行く、といった住み分けがあった。それがコロナ禍に入ってから高付加価値商品が登場し、冷凍商品専門店「@FROZEN(アットフローズン)」などで冷凍食品のフルコースを提案するなど、冷凍食品で良いものを食べようという動きが登場した。

そういった意味では、食品メーカーの冷凍食品は日常的に使う商品として支持され、飲食店の冷凍食品は特別な日などに利用する、といった形で分かれていくのでは。

――冷凍食品を販売することにしたきっかけは。

当社が取り組みを始めたのは2018年。かなり早い方だと思う。当時、社長が「これからは外食と中食、内食の垣根は薄れる」と予想し、家庭でも同じ味を食べられるようなものを広げる取り組みとして、冷凍食品をスタートしている。

ただ、外食はお客様に来ていただく業態だが、外販はこちらから企業様に提案して販売していただくという取り組みになる。このノウハウが社内になかった。私はもともと別の会社で営業をしており、これまでの経験を活かしながら提案を進めたところ、当初の売上と比べて3倍ほどまで伸ばすことができた。

九州を中心に店舗を展開しているため、九州での知名度は非常に高いが、他のエリアではまだそれほど高くない。なので、九州エリアからまずは広げていくことにした。イオン九州さんなどで取り扱いが始まり、徐々に認知が高まっていき、一定規模の売上を確保できた。店舗での売上から見れば微々たるものだが、将来性はあると社内的にも感じられるようになった。

ECは、3年ほど取り組んでみてまだ伸びしろはあると思っている。

――商品面でのこだわりは。

やはり、「ジョイフルの味」という軸は変えず、店舗で食べた味を家庭でもそのまま楽しめるようにしている。

例えば唐揚げは、1個35gと大ぶりなので、レンジで解凍すると火が通りにくかった。しかし、実際に店で食べた感じを再現すべく、2年ほどかけて改良している。チキンドリアも、味の細かな調整や具材感も店舗での味わいに限りなく近づけている。

この軸を守りながら、商品のラインナップの改廃を進めたい。

――今、力を注いでいる取り組みは。

ハンバーグ3品の提案を強めている。ハンバーグが売れれば他の商品の販売も伸びる傾向にあり、徹底的に進めるべく、試食販売には力を注いでいる。

値段が少し高い分、ただ置いているだけではやはり難しい。月に4~5回ほど店頭に立って提案をしているが、実際に食べてもらった方が反応は良い。

また、元々九州に住んでいたが、転勤などで別の地方に住まれた方とお話をする機会が何度かあった。その時、口をそろえて「ジョイフルだ」と喜んでくださったのはとても嬉しかった。近くに店がないとのことだったので、冷凍食品を提案したところ、購入してくださる方が非常に多く、ソウルフードのようになっているのだと感じられた。

美味しいことを知ってもらうと同時に、どのような商品なのか、その場で伝えるとトライアルだけでなくリピーターも増えたため、今後も試食販売は続けていく。

〈業務用としての展開も検討 ブランド価値の向上目指す〉

――売れ筋商品については。

トップは、「ジョイフル ハンバーグ てりやきソース ペッパー付き」で、次いで「ジョイフル チーズインハンバーグ トマトソース付き」、「ジョイフルの味つけ 〈生〉鶏もも肉」、「ジョイフルの塩唐揚げ」が人気だ。レストランでのイメージが強いためか、ハンバーグはやはり好評だ。


「ジョイフル ハンバーグ てりやきソース ペッパー付き」

――取扱店を広げるための取り組み。

食品卸様を皮切りに、いろいろな方に知っていただくことが一つ。どのような商品なのか、卸の方にしっかりと説明して、そこから小売店さんなど多くの方に知っていただけるように進めている。その効果もあってか、今は約5,000店舗で販売ができている。新規での取り扱いは増えており、特に関東と近畿、あと中京・東海エリアで広がっている。

――ワンプレートの冷凍食品の販売予定は。

考えとしてはあるが、今のところ何も決まっていない。当社工場では今のニーズに合った商品を送り出すことは難しいだろう。いつか目途が立てばそちらにも事業を拡大できればと思う。

――商品面で検討している施策は。

サイズ違いのハンバーグの展開だ。冷凍食品として販売しているものは店舗のものより少し小ぶりなので、もっと大きいサイズなども追加できればと思う。

業務用としての販売も検討している。スーパーマーケット向けにハンバーグなどの展開を検討しており、弁当や惣菜として採用されるよう取り組みたい。

「ジョイフル」ブランドで展開すれば、ブランド価値の向上にもつながるのでは。

現在、九州にあるイオン様の一部店舗で、ジョイフルの名前を出した弁当を販売しており、順調な推移だと聞いている。将来的には別の地域でも展開ができればと考えている。

――今後の目標は。

まずは、関東を中心に配荷店を広げていく。将来的には近畿や東海エリアでも進めていく。配荷を広げた後にはエリアごとに販促を打っていく。卸企業様と共に進めたい。

お客様にクオリティを認めてもらえる商品に育てるべく、安売りはしない方針で販売を進めてきた。今は多くの方に商品を広く知っていただく上でとても大事な時期だと思う。売り場で棚をしっかり確保できるよう提案も進める。

商品の良さを知っていただくことが、ここから先は大切になるだろう。トライアル利用の方にもう一度喫食していただくための取り組みも重要だ。社内の体制の充実を図りながら、より広く提案を進めていければと思う。

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