「原発性胆汁性胆管炎」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

「原発性胆汁性胆管炎」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

原発性胆汁性胆管炎の治療

これ以上肝臓を悪くしないための対策と、原発性胆汁性胆管炎に対する薬物療法に大きく分かれます。

肝臓を悪くしないための対策

肝臓を悪くしないための対策には次のようなものがあります (参考文献 4) 。

予防接種:
肝炎ウイルスのワクチンをはじめ、肺炎球菌のワクチンのほか、一般的に摂取できるワクチンを打つことが推奨されます。

お酒を控える

薬物療法

薬物療法はウルソデオキシコール酸 (UDCA) という薬剤を中心に、血中の脂質濃度をコントロールする薬剤を併用することもあります (参考文献 4) 。

これらの治療によっても病勢のコントロールがつかない場合には肝臓移植も選択肢に入ってきます (参考文献 4) 。
症状がないまま経過する場合には予後が良いことが知られていますが、5年で 25% の方が症候性の原発性胆汁性胆管炎へ進行するとされています (参考文献 3) 。黄疸が出てくるようになると予後が良くないことが知られているので (参考文献 3)、病因や検診で異常を指摘されたら早期発見・早期治療のチャンスととらえて、直ぐに病院にいきましょう。

原発性胆汁性胆管炎になりやすい人・予防の方法

原発性胆汁性胆管炎の患者さんの特徴として最も有名なのは「ほとんどが女性であること」です。特に中年女性の患者が多いことが知られています (参考文献 2, 3) 。
血のつながった人の中に原発性胆汁性胆管炎の患者がいる場合には発症リスクが高いことも知られており、遺伝要因が発症に関与することが示唆されています (参考文献 3) 。
豆知識ですが、原発性胆汁性胆管炎は2016年まで原発性胆汁性「肝硬変」と呼ばれていました。以前では肝硬変まで進行した状態で見つかることが多い疾患だったので「肝硬変」の名がついていましたが、診断技術の進歩により現在では肝硬変にいたる前に発見されることがほとんどのため名前の変更がされました。
先述の通り、原発性胆汁性胆汁性は早期発見・早期治療が重要な病気で、初期段階で適切な治療を開始できれば生命予後は一般集団とほとんど変わらないのではとも言われています (参考文献 2)。
「たまたま見つかった」「症状はないが血液検査で異常が指摘されて詳しく調べたら見つかった」という場合には是非とも医師の指示のもと適切な治療を受けて、重症化予防をしてください。

参考文献

1.UpToDate. Pathogenesis of primary biliary cholangitis (primary biliary cirrhosis). Nov 10, 2023.

2.UpToDate. Clinical manifestations, diagnosis, and prognosis of primary biliary cholangitis.Mar 15, 2023.

3.難病情報センター. 原発性胆汁性胆管炎. (最終閲覧 2024.09.21)

4.UpToDate. Overview of the management of primary biliary cholangitis. Jul 26, 2024.

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