レム睡眠行動障害の前兆や初期症状について
おもに睡眠中の異常な行動として現れます。
初期段階では、大声で寝言を言う( 睡眠中に突然大きな声で話す)ことや異常な動き(手足を振り回したり、寝ているのに起き上がって歩き出すこと)があります。
また、夢の内容に沿った行動(夢で見ている内容に合わせて、現実でも同様の動きをすること)があります。覚醒後の意識の明瞭さ(異常行動中に起こされるとすぐに覚醒し、夢の内容をはっきり覚えていること)もあるようです。
これらの症状は、特に睡眠の後半に多く現れる傾向があります。初期症状としては、これらの行動が軽度であることもありますが、放置すると症状が進行し、より危険な行動を伴うことがあります。
レム睡眠行動障害の病院探し
脳神経内科(または神経内科)の診療科がある病院やクリニックを受診して頂きます。
レム睡眠行動障害の検査・診断
睡眠中のエピソードに関する問診と臨床症状の評価、睡眠検査によって行われます。
1) 問診
ベッドパートナーからの情報が有用です。睡眠中の異常行動(大声での寝言、叩いたり蹴ったりする暴力的な動きなど)やその症状が睡眠後半に多いこと、起こされるとすぐに覚醒し、夢の内容を覚えているなどを問診で確認します。
2)神経学的診察
PDやDLB、MSAなどの神経変性疾患の合併を確認するために、神経学的診察を行います。小脳症状(体幹・四肢の運動失調や企図時振戦、眼球運動障害など)や錐体外路症状(筋強剛や動作緩慢、無動など)、自律神経症状(起立性低血圧、排尿障害など)の有無を確認します。
3)PSG
RBDの確定診断には、PSGが不可欠です。この検査では、レム睡眠中の筋緊張の持続(筋弛緩の欠如)や異常行動とレム睡眠の一致の有無、また他の睡眠障害の除外を行います。
4)画像検査
必要に応じて、頭部MRI画像やMIBG心筋シンチグラフィー、ドパミントランスポーターシンチグラフィーでPDやMSAなどの神経変性疾患の評価を行います。これらの総合的な評価により、RBDの診断が行われ、同時に関連する神経変性疾患のリスク評価も可能となります。
鑑別診断
1)non-REM(NREM)睡眠随伴症(ノンレムパラソムニア)
錯乱性覚醒、睡眠時遊行症や睡眠時驚愕症などのノンレムパラソムニアは、RBDと似た症状を呈することがあります。しかし、これらは通常入眠後2時間以内に発生し、患者さんは覚醒しにくく、夢の内容を覚えていないことが多いようです。一方、RBDは睡眠後半に多く、患者さんはすぐに覚醒し、夢の内容を鮮明に覚えています。
2)睡眠関連てんかん
睡眠時てんかんは小児と高齢者に多い傾向があります。前頭葉てんかんや側頭葉てんかんが多いようですが、前者は家族性のこともあります。尿失禁を伴う点や、間欠期脳波で発作波を認める点で鑑別が可能なことがあります。
3) 閉塞性睡眠時無呼吸症候群
REM期の呼吸イベントからの覚醒後に、RBD様の異常行動を起こすことがあり(pseudo-RBD)ますが、いびきや日中の眠気など、特徴的な症状があります。
4)その他
睡眠関連解離性障害や律動性運動障害なども鑑別の対象となります。
正確な診断には、詳細な病歴聴取とPSGが不可欠です。これらにより、RBDに特徴的なレム睡眠中の筋緊張の持続と異常行動を確認できます。
配信: Medical DOC