レム睡眠行動障害の治療
主に薬物療法と非薬物療法の組み合わせで行われます。
1) 薬物療法
主な治療薬としてクロナゼパムが使用されます。これは抗てんかん薬で、レム睡眠中の筋弛緩を促進し、異常行動を抑制する効果があります。リバスチグミンやメマンチンについては、PDに合併するRBDに対する効果が報告されています。高齢者や睡眠時無呼吸症候群を併発している患者さんには、メラトニン作動薬であるラメルテオンが代替薬として使用されることがあります。ただし、いずれの薬剤も適応外使用であることに注意する必要があります。また海外では、メラトニンも推奨されていますが、日本では治療薬として使用できません。
2)非薬物療法
環境調整と生活習慣の改善が重要です。具体的には、睡眠環境の安全確保(ベッドを低くする、危険物の除去など)や、規則正しい睡眠スケジュールの維持、ストレス管理、アルコールやカフェインの摂取制限、適度な運動の実施などの対策が推奨されます。
3)併存疾患への対応
RBDは神経変性疾患の前駆症状である可能性があるため、定期的な経過観察と必要に応じて神経内科的評価を行います。
治療の目標は、症状の軽減と安全性の確保、さらには潜在的な神経変性疾患の早期発見と管理です。個々の患者さんの状態に応じて、これらの治療法を適切に組み合わせることが重要です。
レム睡眠行動障害になりやすい人・予防の方法
主に中高年の男性で、特に50歳以上に多く見られます。この障害は、PDやRBD、MSAといった神経変性疾患と関連しており、これらの疾患を持つ人々に高頻度で発症します。予防の方法としては、ストレスの管理や生活習慣の改善が挙げられます。
具体的には、規則正しい睡眠習慣を維持し、アルコールやカフェインの摂取を控えることが推奨されます。また、睡眠環境を整えることも重要です。ベッドを低くしたり、布団で寝るなどの転倒のリスクを減らす工夫をします。また寝室から鋭利な物や壊れやすい物など危険物の除去を行います。ただし、RBDは神経変性疾患と関連している可能性があるため、症状が現れた場合は早めに専門医に相談することが重要です。
参考文献
Rapid eye movement (REM)睡眠行動障害の診断,告知,治療
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/rem_sleep_behavior_disorder
伊藤規絵著:ねころんで読める歩行障害メディカ出版,大阪,2023
配信: Medical DOC
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