「拒否すれば中学校生活に支障が…」被害者が悲痛な証言 教え子への性的暴行の罪に問われた元校長は一部否認

「拒否すれば中学校生活に支障が…」被害者が悲痛な証言 教え子への性的暴行の罪に問われた元校長は一部否認

●「何をされているのか理解できなかった」

被告人は当初、ジャージの上から身体を触っていたとAさんは語った。Aさんによると理科準備室はあまり人が来ない部屋で、ドアを開けるとすぐに衝立があり、中で何をしているのかすぐに見えない構造になっていたという。

Aさんの証言によると、徐々に「マッサージ」はエスカレートし、やがて下着の中にも手を入れられるようになったり、服も脱がされるようになった。

「最初はよくわからず、こんなことをするのかと思った記憶があります。(何をされているのか)理解できていませんでしたが、気持ち悪い、どうしたらいいんだろうと思いました」とAさんは当時の困惑したことを話した。

ある時、被告人はAさんに部活動に使う道具を買ってあげると言い出したことがあった。2人で道具を買ったあと、ラブホテルに連れて行かれ、性的な行為をされることもあったという。

そうした行為を「すごく嫌だった」「いつも痛みや不快感があった」というAさんだが、検察側に「なぜそれを被告人に伝えなかったのか」と問われると、「やめてという勇気がなかった。嫌だと言ったら、被告人が不機嫌になる恐れがありました。被告人との関係が悪くなると、今後の中学校生活に支障が出る心配があると思いました」と答えた。

Aさんは、被告人に呼び出されないよう、部活を辞めることも考えた。しかし、部活を途中で辞めると内申点が悪くなるのではと不安になり、踏み切れなかったという。

●「性的行為は勉強にも効果がある」

理科準備室への呼び出しは、「週に2日くらい」の頻度で続いたという。

Aさんは断りたかったが、「部活のメニューを打ち合わせしたい」などとAさんに声をかけたという。Aさんによると、周囲に友人達がいる中で声をかけられることもあり、「みんな納得する理由だったので、断りづらかった」と話した。

「部活のメニューを考えるのかと思っていったのに、(性的な行為をされるので)やっぱりこうなるのかという気持ちになりました」

こんなこともあったという。練習試合の帰りに被告人から「学校に来ていない生徒の様子を見に行こう」と言われ、Aさんだけ残されたこともあった。「その後、その生徒の家には行かず、ラブホテルに連れて行かれました」

またある時、被告人は性的行為について、「こういう行為は勉強にも効果がある。勉強とは違う脳の部分を使うことで、勉強にも効果が出る」と説明したこともあったという。Aさんは「理科の先生が言っていることなのだから、本当なのかと思いました」とふりかえった。

撮影された動画の中で、Aさんが被告人と会話していたと弁護人から指摘を受けたが、Aさんは、「その場に合わせて会話していました。無駄な抵抗をしないでさっさと終わらせたかった。とにかく早くこの時間が終わりますようにと思っていました」と説明した。

ただし、Aさんは呼び出しを受けた際にはできるだけ嫌な顔をするなど「できる限りの抵抗」はしていたという。

Aさんはなぜ親や周囲に相談しなかったのか。「自分がされたことを説明するのが恥ずかしかったです。説明できたとしても、親は悲しむだろうし、学校全体の大ごとになってしまうと不安を感じました」と答えた。

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