解熱鎮痛薬を服用したときに起こる「アスピリン喘息」発症しやすい人の特徴を医師が解説

解熱鎮痛薬を服用したときに起こる「アスピリン喘息」発症しやすい人の特徴を医師が解説

アスピリン喘息の前兆や初期症状について

初期症状と経過

① NSAIDsを使用した後、短時間(多くは1時間以内)に鼻汁・鼻閉がおこります。

② 咳、喘鳴(ゼーゼーやヒューヒュー)、呼吸困難が出現し、徐々にあるいは急速に悪化します。意識がなくなったり、窒息する危険性もあります。

③ 時に顔面の紅潮や吐き気、腹痛、下痢などを伴います。

④ 軽症例で半日程度、重症例で24時間以上続くこともありますが、合併症を起こさない限り、原因となった医薬品が体内から消失すれば症状はなくなります。

症状が発現するときの速さと強さは、注射・坐薬>内服薬>貼付薬・塗り薬の順となります。

アスピリン喘息の治療を希望するときは、呼吸器内科やアレルギー科を受診しましょう。呼吸困難など喘息の発作がひどい時は、救急外来を受診しましょう。

アスピリン喘息の検査・診断

この疾患はアレルギーとは異なる機序で発症するため、皮膚検査や血液を用いたアレルギー学的検査では診断ができません。
アスピリン喘息の診断は問診と内服負荷試験で行います。ただし、次の4項目を満たした場合は確定診断となります。

① COX-1阻害作用をもつNSAIDs投与後に喘息発作が生じる

② 鼻症状(鼻閉、鼻汁)悪化を伴う

③ 中発作以上の喘息発作である

④ NSAIDs投与から1~2時間以内に発作が始まる(ただし、貼付薬と湿布薬は除く)

問診

問診では次の3点を確認します。

1.喘息発症後の最近2~3年以内のNSAIDs使用歴と副反応歴

2.嗅覚障害に関すること

3.鼻茸や副鼻腔炎の既往・手術歴の有無

アスピリン喘息患者のNSAIDsによる発作誘発を防ぐためには、リスクのある患者を早期に見出すことも重要です。以下のアスピリン喘息に特徴的な症状を確認することで、リスクを抱える患者を見つけるきっかけとなります。()は喘息症状がある方のうちアスピリン喘息である確率を示します。

1.ミント、練り歯磨き、香辛料で悪化(90%以上)

2.NSAIDs誘発歴(85~90%)

3.鼻茸もしくは副鼻腔炎の手術歴(60%以上)

4.強い嗅覚低下(約60%)

5.鼻茸もしくは副鼻腔炎の合併または既往(40%以上)

6.発作入院をくり返す(30%以上)

7.成人発症で、非アトピー性(明確な環境アレルゲン感作なし)、中等症以上喘息(約20%)

内服負荷試験

NSAIDsの通常の投与ルートに沿った確実な診断方法です。実施には2~3日を要し、専門施設において、その対応に習熟した2名以上の医師のもとで、負荷量を国際的に提示されている量や成書に沿って、かつ、投与間隔時間を守って行われる必要があり、喘息状態の良好な時に行うことが必須です。

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