解熱鎮痛薬を服用したときに起こる「アスピリン喘息」発症しやすい人の特徴を医師が解説

解熱鎮痛薬を服用したときに起こる「アスピリン喘息」発症しやすい人の特徴を医師が解説

アスピリン喘息の治療

早期対応のポイント

①呼吸の苦しい症状(息をするときゼーゼー、ヒューヒューする、息苦しい、鼻や喉が詰まって苦しいなど)を自覚してから急速に呼吸困難に陥ることがあるため、すみやかに救急車を呼びましょう。

②救急車が到着するまでに、普段使用している喘息発作時の頓用薬があれば、指示通りに使用しましょう。

③救急車や医療機関には、「喘息がもともとあって、解熱薬を何時何分頃服用し、息苦しくなった」などの内容を伝えましょう。

④お薬手帳と服用した医薬品を持って行きましょう。

発熱・疼痛時

アセトアミノフェン(1回300㎎以下の投与)、セレコキシブで対応します。
NSAIDsは、常用量の1/5以下でも喘息発作を誘発する可能性があり、少量でも十分な注意が必要となるため、原則投与しません。
アスピリン喘息患者に使用可能な薬剤には、次のようなものがあります。

解熱・鎮痛剤: アセトアミノフェン、葛根湯、PL配合顆粒(1g中アセトアミノフェン150mg含有)

解熱剤: 副腎皮質ステロイド(リン酸エステル製剤)、地竜

鎮痛剤: モルヒネ、ペンタゾシン、セレコキシブ、トラマドール

セレコキシブは常用量では誘発されませんが、重症不安定例では悪化の報告ありますので使用に関しては、医師の指導を受けることも重要です。

急性期(NSAIDs誘発期)

通常の急性喘息発作と同様に次の手順で迅速に治療を行います。

①十分な酸素化

②アドレナリンの早期および繰り返しの投与(筋肉内注射)

③アミノフィリンと副腎皮質ステロイドの点滴
・ステロイド剤は急速静注は禁止
・ステロイドはリン酸エステルタイプ(リンデロンなど)を用いる

④抗ヒスタミン薬の点滴投与

⑤抗ロイコトリエン薬の内服と気管支拡張薬の吸入

慢性期(長期管理)

通常の喘息治療と同様の治療を行います。

①吸入ステロイド+長時間型β2刺激薬の吸入

②比較的有効性が高いのはクロモグリク酸ナトリウム(メプチンなど)の吸入である

③喘息症状を安定化させるために鼻茸や副鼻腔炎の治療を行う

難治例ではオマリズマブの継続使用やデュピルマブの使用が有効であることや、喘息のコントロールを良好に維持すると過敏反応が消失する症例があることが報告されています。

アスピリン喘息になりやすい人・予防の方法

アスピリン喘息になるメカニズムは詳しくはわかっていませんが、以下のような方が発症しやすいといわれています。

解熱剤、鎮痛薬全般に過敏な体質をもっているぜん息患者さん

成人後にぜん息を発症した方

鼻茸(鼻ポリープ)を伴う慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の合併または手術歴のある方

女性の重症ぜん息患者さん

ぜん息患者さんは、解熱鎮痛薬を使用する際必ず医師や薬剤師に相談してください。
医療機関を受診したり、薬局で医薬品を購入したりする際には、自分が「アスピリン喘息(解熱鎮痛薬喘息)(疑い)」であることを、医師または薬剤師に伝えることが大切です。
不注意や誤ってNSAIDsが投与されることを防ぐために、病状説明書や患者カードを携帯しましょう。

参考文献

重篤副作用疾患別対応マニュアル非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作喘息令和4年2月改定版(厚生労働省)

アスピリン喘息患者への解熱鎮痛消炎薬の投与(福岡県薬剤師会)

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