紫斑病の治療
紫斑病の治療は、原因や症状の重さによって異なります。
軽症の場合は自然に治癒することもありますが、重症の場合や合併症がある場合には積極的な治療が必要です。
アレルギー性紫斑病の治療
アレルギー性紫斑病は、通常は軽症で自然に回復することが多いですが、症状が重い場合や合併症がある場合には治療が行われます。
ステロイド
アレルギー性紫斑病の治療には、炎症を抑えるためにステロイドが使用されることがあります。特に関節の腫れや腹痛、腎機能障害がある場合には、ステロイドが効果的です。
鎮痛薬
関節痛や腹痛を和らげるために、鎮痛薬が処方されることがあります。ただし、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、出血リスクを高めることがあるため、使用には注意が必要です。
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療
免疫抑制剤
ITPの治療には、免疫系が誤って血小板を攻撃しないように、免疫抑制剤が使用されます。これにより、血小板の減少を防ぎ、出血のリスクを軽減します。
ステロイド
ITPの治療には、ステロイドが一般的に使用されます。ステロイドは免疫系を抑制し、血小板の破壊を防ぎます。症状が軽快するまでの間、短期間使用されることが多いです。
免疫グロブリン療法
重症のITPや急性の出血がある場合には、免疫グロブリン療法が行われることがあります。この治療法は、速やかに血小板を増加させる効果があり、緊急時に使用されます。
脾臓摘出術
慢性的なITPで、薬物治療が効果を示さない場合には、脾臓摘出術が検討されることがあります。脾臓は血小板を破壊する役割を果たしているため、これを摘出することで症状の改善が期待できます。
その他の治療法
血液疾患が原因で紫斑病が発生している場合には、抗がん剤治療や骨髄移植など、基礎疾患の治療が行われます。
また、外傷や薬物が原因で発症した場合には、出血を抑えるための治療や薬物の中止が必要です。
紫斑病になりやすい人・予防の方法
紫斑病になりやすい人
紫斑病は、特定のリスク要因を持つ人に発症しやすいです。
以下は、紫斑病のリスクが高い人々です。
小児:
アレルギー性紫斑病は、特に5歳から15歳までの小児に多く見られます。感染症やアレルギー反応が引き金となることが多いため、風邪や咽頭炎の後に発症することがあります。
高齢者:
加齢により血管が脆くなり、紫斑が発生しやすくなります。また、血小板の産生が低下することもあり、出血リスクが高まります。
免疫抑制薬や抗凝固薬を使用している人:
免疫抑制剤や抗凝固薬を使用している人は、出血のリスクが高く、紫斑が発生しやすくなります。
予防の方法
紫斑病を完全に予防することは難しいですが、いくつかの方法でリスクを軽減することができます。
感染症予防:
アレルギー性紫斑病は、感染症がきっかけで発症することが多いため、手洗いやうがい、予防接種など、感染症予防を徹底することが大切です。
薬の使用に注意:
抗凝固薬や血小板機能を抑制する薬を使用している場合は、医師と相談しながら適切な用量で使用することが重要です。また、自己判断での薬の中止や調整は避けましょう。
定期的な検診:
血液疾患や自己免疫疾患のリスクがある人は、定期的に検診を受けることで、早期発見と早期治療が可能になります。
参考文献
UpToDate IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病):臨床症状と診断
UpToDate 小児の紫斑性皮膚病変(点状出血、紫斑、斑状出血):原因
UpToDate 色素性紫斑性皮膚疾患(毛細血管炎)
日本皮膚科学会 血管炎・紫斑病
配信: Medical DOC
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