「レビー小体型認知症」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「レビー小体型認知症」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

レビー小体型認知症の前兆や初期症状について

初期には、転倒しやすいなどの運動症状・幻視・錯視・人物誤認・レム睡眠行動異常症・調子の変動・うつ状態・便秘などの症状がでます。うつ状態やレム睡眠行動異常症は、ほかの症状に比べて数年早く症状として現れます。レム睡眠行動異常症は、睡眠時の夢のなかでの行動が現実の行動となって現れる病気です。大声での寝言・殴る・蹴るなどの症状が現れます。

症状が強くでる方では、歩き回ったり窓から飛び出して怪我をしたりと危険が伴う場合があるため、注意が必要です。症状があった場合には、精神科・脳神経内科に相談しましょう。調子の変動は、注意や覚醒状態の変わりやすさを指します。矛盾した行動・話の辻褄の合いにくさ・散漫な注意力・一点を見つめるなど意識の変容を繰り返します。幻視は、目の前には存在しない人・物などが見えている状態です。

レビー小体型認知症の患者さんの80%に見られる症状で、具体的ではっきりしています。また、発症初期には目立ちにくいのが記憶障害です。記憶障害が発症するのは平均で74.9歳といわれています。便秘・嗅覚低下・うつ・レム睡眠行動異常症・起立性は記憶障害が生じる前から現れている症状です。

便秘は記憶障害の9.3年前から76%に生じ、嗅覚低下は8.7年前から44%に見られ、レム睡眠行動異常症は4.5年前から66%に認められます。記憶障害後に現れる症状には、失神・幻視・パーキンソニズムがあります。失神は1.4年後に17%に現れ、幻視・パーキンソニズムは1.5年後に80%以上の方で生じる症状です。症状があった場合には、精神科・脳神経内科を受診するようにしましょう。

レビー小体型認知症の検査・診断

レビー小体型認知症では、必須症状・中核的特徴・支持的特徴・バイオマーカー(指標的・支持的)の診断基準で判断します。

上記の診断基準をもとに、中核的特徴が2つ以上あるいは中核的特徴が1つと指標的バイオマーカーが1つ以上ある場合にはprobable DLB(ほぼ確実)と診断されます。DLBは、レビー小体型認知症のことで英語の頭文字をとった表記です。また、possible DLB(疑い)と診断がでる場合もあります。

possible DLBと診断されるのは、中核的特徴が1つのみで指標的バイオマーカーがない場合あるいは中核的特徴はないが指標的バイオマーカーが1つ以上ある場合です。

必須症状

日常生活に支障をきたす程の進行性の認知機能の低下があることが必須になります。レビー小体型認知症では、記憶機能に比べて視空間認知・注意・遂行機能が障害されているケースが少なくないため、深堀ができる検査が必要です。

中核的特徴

中核的特徴には次のようなものが挙げられます。

注意力や覚醒状態の顕著な変化を伴う認知の変動

繰り返し出現する具体的な幻視

認知機能低下に先行する可能性もあるレム睡眠行動異常症

特発性のパーキンソニズムのうち1つ以上

パーキンソニズムは、パーキンソン病以外の原因で起きるパーキンソン病の症状を指します。症状は寡動・動作緩慢・安静時振戦・筋強剛です。

支持的特徴

支持的特徴は、一般的に現れる症状ですが、診断では特異的かどうかが立証されていない特徴のことです。レビー小体型認知症では、抗精神病薬に対する重篤な過敏性・姿勢保持障害・繰り返す転倒・失神・便秘・尿失禁・過眠・嗅覚鈍麻・幻視以外の幻覚などです。

指標的バイオマーカー

指標的バイオマーカーでは次の3つが重要になります。

SPECTやPETでの基底核のドパミントランスポーターの取り込み低下

MIBG心筋シンチグラフィでの取り込み低下

睡眠ポリグラフ検査で筋緊張低下を伴わないレム睡眠の確認

ドパミントランスポーターの取り込み低下では、DATスキャンと呼ばれる画像検査を行います。薬剤を静脈に注射して3時間後に頭部の撮影を30分程かけて行う検査です。黒質線条体にあるドパミン神経の変性・脱落を画像でとらえることができます。レビー小体型認知症では、線条体全体でドパミン神経の変性・脱落がわかりやすいのが特徴です。MIBG心筋シンチグラフィは、心臓にある交感神経の機能を調べる検査です。注射した薬剤の心臓への集積度合を評価します。レビー小体型認知症では、心臓の薬剤の集積が低下します。睡眠ポリグラフ検査は、睡眠時の脳波・筋電図・心電図・眼球運動などの睡眠状態が把握できる検査です。レビー小体型認知症では、筋緊張低下を伴わないレム睡眠の確認がされます。

支持的バイオマーカー

支持的バイオマ―カーは、CT・MRIで側頭葉内側部が保たれている・SPECTやPETで後頭葉の活動低下を伴う全般的な取り込み低下がある・脳波上で後頭部に著明な徐派活動があるの3つです。レビー小体型認知症では記憶障害が目立ちにくく、視覚間認知・注意・遂行機能が低下しているケースが少なくありません。そのため、HDS-R・MMSEなどの全般的な認知機能の検査ではカットオフ値を下回らない場合もあります。視覚間認知・注意・遂行機能を評価できる時計描画検査・重複した五角形の模写・Trail Making Test・Wisconsin Card Sorting Testなどの評価が有用です。

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