3、相手が不倫をして離婚前に別居する方法
相手(配偶者)の不倫によって離婚する前に別居をお考えの場合は、離婚を切り出す前に離婚の準備を進めておくべきです。
(1)まずは別居先を確保すること
別居するためには、当然ですが別居先を確保しなければなりません。
離婚することと、その前提として別居することを決めのであれば、別居先のアパートなどの契約をしておきましょう。もちろん、実家に戻れる場合は実家に戻ってもかまいません。
子どもを連れて出る場合は、子どもの養育環境として問題がないかどうかも考慮して別居先を選ぶようにしましょう。
(2)婚姻費用を請求
別居を開始したら、相手(配偶者)に婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用を支払ってもらうためには、相手に請求した上で話し合いをする必要があるので、実際に支払ってもらえるようになるまでに時間がかかることがあります。
そのため、別居を開始したらすぐに請求できるように、次のような準備をしておきましょう。
①請求は内容証明郵便を使う
婚姻費用の請求にも、内容証明郵便を使いましょう。
通常は一通の内容証明郵便に
離婚を求めること
慰謝料〇〇万円を求めること
婚姻費用として離婚が成立するまで毎月○万円の支払いを求めること
をすべて書きます。
ただ、離婚するかどうかで迷っているような場合は、婚姻費用の請求のみを書いて送付します。
②婚姻費用の相場
婚姻費用についても、当事者が合意すれば自由に定めることができます。
内容証明郵便には、自分が納得できる金額を書きましょう。
婚姻費用の相場は、裁判所の「婚姻費用算定表」で調べることができます。
参考:裁判所|婚姻費用算定表
算定表には、お互いの年収や子どもの人数・年齢に応じて目安となる婚姻費用の金額が掲載されています。
一例として、相手の年収が400万円、自分の年収が0円で、子ども1人(0~14歳)を連れて出た場合の婚姻費用の目安は月8~10万円です。
なお、この金額は自分と子どもの生活費を含めたものになります。
離婚して自分が子どもの親権者となった後に相手に請求できる「養育費」は子どもの養育にかかる費用のみとなるので、婚姻費用よりも低額になります。
婚姻費用について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
4、不倫した側がスムーズに離婚する方法
ここからは、自分の不倫で離婚を求める場合に踏むべき手順をみていきましょう。
(1)相手の気持ちが次の人生へシフトすることが必要
自分が離婚原因を作った場合は、相手が離婚に同意しない限り、離婚を強行することはできません。
相手の同意を得るためには、相手の気持ちを離婚後の人生にシフトさせることが必要です。
まずは、相手が離婚したくない理由を聞き取り、理解を示しましょう。
金銭的な問題、子どものこと、単に離れたくない、世間体などさまざまな理由があることでしょう。
いずれの場合でも、相手にとっても離婚した方が今後の人生にとってプラスになることを理解してもらえるように、じっくりと話し合わなければなりません。
(2)そのためにできるのは経済的サポートと謝罪
このような話し合いには通常、時間がかかります。スムーズに離婚を成立させるためには、交換条件として経済的サポートを提供することと、心から謝罪することが重要です。
① 経済的サポート
離婚を望まない相手(配偶者)との問題は、金銭で解決できる場合があります。
具体的には、慰謝料や財産分与を相場より多めに支払うことです。
相手が子どもの親権者となる場合は、養育費の支払いも約束しましょう。
なお、財産分与は夫婦共有財産を折半にするのが原則ですが、自分の不倫で離婚を求める場合には「慰謝料的財産分与」「扶養的財産分与」として相手の取得割合を多くすることも考えられます。
慰謝料的財産分与とは、謝罪の気持ちを込めて財産を多めに渡すことをいいます。
扶養的財産分与とは、離婚することによって相手が生活に困窮してしまう場合に、一定期間は生活を保障するために財産を多めに渡すことをいいます。
財産分与について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
② 謝罪
相手の気持ちを動かすためには、こちらも心から謝罪すべきです。
ポイントは、謝罪の意思がきちんと伝わるような態度で気持ちを伝えることです。
本気で謝るときは、泣いてしまうものだと思います。泣けば許されるわけではありませんが、うわべだけの謝罪は有害無益でしょう。
離婚に応じない相手とのやりとりについては、こちらの記事も参考になさってください。
配信: LEGAL MALL