子育て中は、孤独や不安、ストレスからやり場のない気持ちに打ちのめされそうになることがありますよね。そんな時思わぬ救世主が現れることも……。
これは、育児に疲れていた私の友人から聞いた、男子高校生3人組の救世主の話です。
ツラすぎるワンオペ育児
私には、現在小学1年生になる息子がいます。
これは、その息子が幼稚園に入る半年ほど前の話です。
私には頼れる両親がおらず、旦那は激務で完全なるワンオペ。
初めての子どもということもあり、毎日イヤイヤ期で泣き叫ぶ息子との生活から、育児ノイローゼになりかけていたと思います。
とにかく家にいると気分が落ち込むので、朝には近所の公園に、夕方になると買い物のついでに家から少し離れた公園へほぼ毎日連れて行っていました。
その日は、朝から子どもの機嫌が悪く全く言うことを聞いてくれませんでした。
私も参ってしまい、夕方に行った公園のベンチで「ママ遊ぼう!」という子どもの言葉にも反応することもできず、思わず涙が溢れてきてしまったのです。
思わず涙が……
すると、他のベンチに座っていた真面目そうな男子高校生の3人組が、息子のもとに歩いてきて、私にこう言いました。
「あの、お子さんと一緒に遊んでもいいですか? 見えるところにいるんで。」
突然の出来事にすごく驚いて、「え? あ、ありがとうございます。」ということしか出来ずにいると、変身ヒーローの人形を握りしめた子どもの前にしゃがみ込み「これ、かっこいいね!」と話しかけてくれていました。
息子はとても嬉しかったようで、変身ヒーローのことを必死で話しだし、3人の高校生たちはそれをニコニコと聞いてました。
あっという間に打ち解けると、抱っこして遊具に乗せてくれたり、変身ヒーローごっこをしてくれたり、汗だくになって遊んでくれたのです。
こんなに楽しそうな息子を見たのはいつぶりだろう……とまた涙があふれてきましたが、さっきまでの悲しい涙とは全く違ったものでした。
1時間ほど遊んでもらい、たくさんの感謝を伝えて「もっと遊びたい!」と騒ぐ息子に、「絶対にまた遊ぼう!」と約束してくれ、納得した息子はお兄さんたちとハイタッチをして家に帰りました。
私も息子も笑顔で帰ったその帰り道を、今でもはっきり覚えています。
それから、幼稚園に入園するまでの半年間、その公園で会うたびに息子と遊んでくれるようになり、私も息子もその日がとても楽しみになりました。
その子たちも、息子と遊べるのが楽しいからと嫌な顔ひとつせずに頻繁に公園に来てくれました。
そして、その間に息子のイヤイヤ期も落ち着き、穏やかに毎日を過ごせるようになったのです。
幼稚園入園をきっかけに徐々に会う機会も少なくなりましたが、あの日、高校生の男の子たちが話しかけてくれていなかったら、きっと私はあの時期を乗り越えることができなかったと思います。
なぜあの日声を掛けてくれたのか、あらためて聞くことはなかったのですが、おそらく思い詰めていた私の姿を見て心配で声を掛けてくれたんだと思います。
現在小学校1年生になった息子は、あの子たちのおかげで小さい子も可愛がるとても素直で優しい男の子に育ちました。
彼らは一生、私の中のヒーローです。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:かたひらむぎ
大手マスメディアに勤務し、結婚を機に退職。現在は2児を育てる専業主婦ライター。家族や友人など、波乱万丈な人生を送る人たちに囲まれ、取材対象に。インタビューを行う中で「事実は小説よりも奇なり」を実感。体験者のリアルな思いを読者に届けるべくltnで活動中。