「前立腺がんの手術費用」はどれくらい?治療法も解説!【医師監修】

「前立腺がんの手術費用」はどれくらい?治療法も解説!【医師監修】

前立腺がんは、新たに診断される患者数が増加しているがんです。転移のない前立腺がんの手術では、ロボット手術を実施する医療機関が増えています。

ロボット手術と聞くと、従来の開腹手術や腹腔鏡手術との違いや費用面に不安を感じる方も少なくないでしょう。

今回は、前立腺がんの手術費用を治療方法と併せて解説します。費用負担を軽減する高額療養費制度もご紹介しているので、参考にしてください。

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監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

前立腺がんとは?

前立腺は膀胱の出口側にあり、直腸に接している男性特有の臓器です。中央部に尿道が通り、前立腺液を作っています。
前立腺がんでは尿が出にくい・排尿回数が多いなどの症状がある患者さんもいますが、ほとんどの患者さんに早期の段階での自覚症状はありません。進行すると周囲の組織に浸潤したり、リンパ節・骨・遠く離れた臓器に転移したりする悪性腫瘍です。

前立腺がんの治療方法

前立腺がんの治療は患者さんの希望・ライフスタイル・年齢などを踏まえ、主治医と話し合って治療方法を決めます。転移の有無をはじめ、腫瘍の広がりや悪性度などのリスクと治療による合併症を考慮した総合的な検討が必要です。

監視療法

前立腺がんには、進行がゆっくりで無症状のまま経過するタイプがあります。このようなタイプの早期がんの経過観察を続け、過剰な治療を減らして治療による生活の質の低下を避けるのが監視療法です。
定期的に検査や生検を行い、進行の予兆があったときに治療を検討します。

フォーカルセラピー

排尿と生殖の機能に関わる前立腺のがん治療には、排尿障害や性機能障害などの合併症が少なからず生じます。
フォーカルセラピーはがんに侵されていない組織を温存しつつ、病巣部に限局した治療をして合併症を抑えることを目標とする治療法です。ただ、効果を判定する基準や安全性が確立していないものも少なくありません。

手術

前立腺がんの手術では、前立腺と精のうを取り除き、膀胱と尿道をつなぎ合わせる前立腺全摘除術が行われます。
手術と同時に、リンパ節郭清を行う場合もあります。手術の方法は、開腹手術・腹腔鏡手術・ロボット手術です。ロボット手術は患者さんの下腹部に開けた穴からカメラやロボットの鉗子を入れ、術者がモニターを見ながらロボットを遠隔操作して手術を行います。腹腔鏡手術よりも精度の高い手術ができるメリットがあります。

放射線治療

身体の外から高エネルギーのX線を照射する外照射療法は、コンピューター制御により前立腺に限局して照射する強度変調放射線治療が主流です。ほかにも定位放射線治療・粒子線を用いた粒子線治療が選択肢となります。
しかしながら、国内で粒子線治療が可能な医療施設は、まだ少ないのが現状です。前立腺に放射線源を埋め込む小線源療法や、一時的に挿入して照射する高線量率組織内照射法もあります。放射線源を埋め込む小線源療法では、入院を伴う外科的処置が必要です。

内分泌療法

前立腺がんは、男性ホルモンであるアンドロゲンに依存して増殖する特徴があります。内分泌療法は、アンドロゲンをブロックする薬物を使って、がんの進行を抑える治療法です。薬物には注射薬と内服薬があり、両者を併用する場合もあります。
アンドロゲンがブロックされる内分泌療法の副作用は、性機能障害・ホットフラッシュ・骨密度の低下などです。もともと男性にも存在する女性ホルモンが一時的に顕著になって、乳房が大きくなったり、乳頭に痛みを感じたりする患者さんもいます。

細胞障害性抗がん薬による治療

細胞障害性抗がん薬による治療は、がん細胞が分裂する過程を妨げて増殖を抑え、がん細胞を消滅させることを目的とする治療法です。
長期間の内分泌療法では、効果が弱まって症状が再燃することがあります。このような状況において、ドセタキセル・カバジタキセルなどの細胞障害性抗がん薬の使用が選択されてきました。近年では、高リスクがんに内分泌療法に先行して細胞障害性抗がん薬を使用するケースもあります。

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