家庭でできる感染を広げないための対策
家庭でできる感染を広げないための対策を教えてください。
ノロウイルスに感染した場合は、家族への感染予防が必要です。感染者の便や嘔吐物を適切に処理し、アルコールではなく次亜塩素酸ナトリウムを用いて消毒しましょう。感染していない家族は、流水と石鹸による手洗いを励行しましょう。ノロウイルス感染症から回復した後も、1週間〜4週間程度便中にウイルスを排出するとされています。感染した方は、体調が回復した後も手洗いの継続が必要です。
感染している家族が使用した食器の取り扱い方法を教えてください。
感染者の使用した食器は、食後すぐに塩素濃度200ppmの塩素消毒液に浸して消毒します。嘔吐物が付着した食器は、嘔吐物を拭き取った後に塩素濃度1,000ppmの塩素消毒液に浸しましょう。食器の下洗いをした場所は塩素濃度200ppmの塩素消毒液で消毒し、洗剤を使って掃除します。しかし、頻回な消毒が家族の負担となり、体力が低下して感染してしまっては元も子もありません。疲労を感じるときは、無理をせず使い捨てのディスポ食器を使用して消毒にかかる時間を休息に充てましょう。
感染している家族の嘔吐物の処理をする際の注意点を教えてください。
嘔吐物の処理には、塩素濃度の塩素消毒液を使用します。感染していない家族は汚染場所から遠ざけ、使い捨てのエプロン・マスク・手袋を着用しましょう。嘔吐物を慌てて拭き取ると、ウイルスが飛び散ってしまいます。紙類で嘔吐物を覆い、静かに拭き取ることが大事です。嘔吐物が飛散した範囲は塩素濃度1,000ppmの塩素消毒液に浸した紙類で拭き取り、10分後に水拭きをします。嘔吐物・汚染物の拭き取りと消毒に使用したもの・着用したエプロン類は、密閉して速やかに廃棄しましょう。衣類に嘔吐物が付着した場合は、嘔吐物を拭き取った後に洗剤を入れた水で下洗いをします。下洗いの時点では消毒できていないため、ウイルスの飛散を防ぐべく静かに洗いましょう。そして、塩素濃度1,000ppmの塩素消毒液に10分間浸した後に洗濯するか、85度以上の熱湯で1分以上消毒をします。布団や枕、じゅうたんは、すぐに洗濯できない場合もあるでしょう。嘔吐物を拭き取った後に乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を利用して対処します。なお、嘔吐物の処理後は手袋をしていても必ず流水と石鹸で手洗いを行いましょう。
感染している家族がいる場合の環境の消毒方法を教えてください。
ノロウイルスは、手すり・ドアノブ・水栓レバーなど家族が触れる部分に一定期間付着し続ける可能性があります。ほかにも、スイッチやリモコンなど感染者も含めた家族が共有して触れる場所は消毒しましょう。塩素濃度200ppmの塩素消毒液で消毒し、10分後に水拭きをします。塩素消毒液は金属に対して腐食性があるため、消毒後の水拭きが必要です。手で触れたり、口に入れたりする可能性が高いお子さんのおもちゃの消毒も行いましょう。色落ちが気になるおもちゃは、85度以上の熱湯に1分以上浸して消毒します。また、下痢の症状を呈する感染者・回復後も便中にウイルスが排出されていると考えられる期間の方は、入浴の仕方にも注意が必要です。家族が入浴した後に入り、身体をよく洗ってから浴槽に入りましょう。浴槽や床、風呂の椅子は毎日洗浄することをおすすめします。
編集部まとめ
ノロウイルスは食中毒を起こし、感染性胃腸炎の原因にもなるウイルスです。家庭内で感染を広げないようにするためには、ウイルスを含む感染者の便や嘔吐物の適切な処理がポイントとなります。
感染に備えて、嘔吐物の処理に必要な塩素系漂白剤やペーパータオル、使い捨てのエプロン・マスク・手袋をひとまとめにしたセットを用意しておくと迅速な処理に役立つでしょう。
ノロウイルスによる感染症は、感染しても症状が出ない方や軽い症状で済む方もいます。感染が蔓延するピーク時はもちろんのこと、年間を通して流水と石鹸での手洗いを行って予防しましょう。
参考文献
ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?(政府広報オンライン)
ノロウイルス感染症(Norovirus infection)(日本感染症学会)
ノロウイルスに関するQ&A(厚生労働省)
ノロウイルスについて(農林水産省)
配信: Medical DOC
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