今話題の舌下免疫療法。花粉症に毎年悩まされている人や、この春に受験などの大事な予定を控えている人などは、舌下免疫療法を考えることも多いようです。何歳から受けられるのか、治療はどのくらいの期間必要なのかなど、舌下免疫療法の気になるあれこれを「水島耳鼻咽喉科」の水島先生にお聞きしました。
監修医師:
水島 豪太(水島耳鼻咽喉科 副院長)
日本大学医学部卒業、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科入局。同大学付属病院や一般医院勤務後、カリフォルニア大学サンディエゴ校へ留学。2016年、AGAヘアクリニック開院とともに、「水島耳鼻咽喉科」の副院長に就任。最新の知見・技術と地域特性を組み合わせた医療に努めている。耳鼻咽喉科専門医。日本耳鼻咽喉科学会、日本めまい平衡医学会、日本遠隔医療学会、日本再生医療学会、国際毛髪抗加齢医学学会などの各会員。
編集部
舌下免疫療法とは、どのような治療法なのですか?
水島先生
治療薬を舌の下に投与する治療法です。舌の下に薬を置き、一定の時間その状態を保ってから飲み込みます。とくに年齢制限はなく、「舌の下に一定時間薬を置いて、そのあと飲み込む」という動作ができれば、子どもでもおこなうことができます。個人差はありますが、効果が現れるまでに数カ月~1年程度はみておいてください。また、その後も治療効果を安定させるため、最低でも3年間は治療を継続していただきたいですね。
編集部
途中で治療を中断してしまったらどうなるのですか?
水島先生
まだ新しい治療法のため、長期間にわたって蓄積されたデータはないのですが、治療を途中でやめても治療効果が持続している人と治療効果が薄れて再び症状が出てしまう人がいるとされています。総じて、効果には個人差がある印象です。治療効果が薄れても再開できますから、根気よく継続することが大切です。
編集部
治療を始めるのに最適な時期はありますか?
水島先生
通常は6~12月に治療を開始します。スギ花粉が飛散し始めてから舌下免疫療法をおこなうと、アナフィラキシーショックのような症状が出てしまうこともあるので、スギ花粉が飛散する前のスタートが理想的です。
編集部
どのような効果が期待できるのですか?
水島先生
アレルギー症状を緩和し、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状を抑えることができます。また、完治することが難しくても、大きく症状を和らげることが期待できます。研究によれば、3年間治療を継続すれば、8~9割の人が何らかの効果を実感したことがわかっていますし、なかには完全に花粉症が治った人もいます。
編集部
どの花粉にも効くのですか?
水島先生
いいえ、スギ花粉に対してのみ有効です。そのほか、ダニアレルギーの舌下免疫療法もあります。
編集部
副作用はありますか?
水島先生
安全性は確認されていますが、治療を始めてすぐの頃に口の中の浮腫や腫れ、かゆみ、のどの不快感、耳のかゆみなどが稀に現れることがあります。ただし、最初の数カ月だけで、徐々に治まってきます。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
水島先生
必ずしも全員に舌下免疫療法を推奨するわけではありませんが、つらい花粉症の症状を緩和させるのに優れた治療法であることは間違いありません。とくに受験シーズンを控えていたり、勉強に集中しなければいけなかったりする子どもには、舌下免疫療法をおすすめします。受験シーズンはちょうどスギ花粉の飛散期と重なっており、受験は人生を左右する一大事です。保険適用なので、費用面の負担も少なくて済みますし、若いうちから治療しておくことで、その後の人生においても優位に働くことが多いので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
※この記事はMedical DOCにて【花粉症の治療法の種類を紹介、安全性と簡便性から「舌下免疫療法」がオススメか【来シーズンに備えよう!】】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC