黄体機能不全の前兆や初期症状について
正常な黄体期の持続期間は12-14日とするのが一般的ですが、11-17日の場合もあります。黄体機能不全は、臨床的に「高温期(黄体期)が10日以内であること」と定義されますが、11日以内や、9日以内とする場合もあります。
高温期が短くなることで、月経周期が短縮したり、不正出血が生じることがあります。
上記のような症状が見られたら、産婦人科を受診しましょう。
黄体機能不全の検査・診断
これまで、黄体機能不全については様々な検査、定義が用いられてきました。
月経周期、基礎体温:高温期が10日未満
高温期の血中プロゲステロン濃度:高温期7日目前後で10ng/ml未満
子宮内膜日付診:黄体期中期から後期の子宮内膜を採取し、得られた組織の日付と排卵日または次回月経開始日から算出した日付を比較する。両者に3日以上のずれがあると異常と診断する。診断確定には2回以上の検査が必要とされている。
しかし、上記の検査についてはそれぞれ問題があり、現状黄体機能不全を診断する明確な検査法は存在しません。
① 月経周期、基礎体温
そもそも基礎体温が正確に計測できていない可能性があります。また、血中プロゲステロン値や子宮内膜組織診の成績と比較すると、黄体機能を正確に反映できているとは言えないため、検査として限界があります。
② 高温期の血中プロゲステロン濃度
排卵の6-8日後で>3ng/mlが排卵の指標とされています。ただし、妊娠していないときのプロゲステロンの正常値、妊娠時の最低値ははっきりしていません。また、プロゲステロンは黄体化ホルモンに反応して5-40ng/mlの間でパルス状に分泌される(90分間以内に8倍に増加する可能性がある)ため、1回の測定で診断は困難です。
血中プロゲステロン濃度>10ng/mlのカットオフ値については、排卵がある女性のうち、黄体期が10日未満の場合を黄体機能不全とすると、そのほとんどが10ng/mlであったというデータから基準値として設定されたという経緯があります。ただし、この基準値も通常排卵周期の31.3%において当てはまるとされており、また先に述べたパルス状分泌の問題や、周期ごとに異なることから、この基準値のみで黄体機能不全と診断することはできません。
さらに、プロゲステロンに対する子宮内膜の反応性低下が原因となっていることがあり、この場合は血中プロゲステロン濃度が正常であるにもかかわらず、着床に適した子宮内膜に変化していないことがあります。
③ 子宮内膜組織診
診断の精度を高めるために、基礎体温、LHサージ、卵胞計測などを総合して排卵日を確定させる必要がありますが、それ自体が難しく、また子宮内膜の評価は容易ではなく、評価自体も問題があるとされ、現在では検査としての意義は低いとされています。妊孕性との関連も明らかになっていません。
配信: Medical DOC