「黄体機能不全」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「黄体機能不全」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

黄体機能不全の治療

さまざまな施設で治療が試みられていますが、現状、一般不妊治療(タイミング法や人工授精)においては、明確なエビデンスのある妊娠率を向上させる黄体機能不全の治療法はありません。
背景に高プロラクチン血症や、甲状腺機能異常がある場合はそれらの治療を行います。
また、黄体補充としての厳密なランダム化比較試験はないものの、試み的な「提案されている対応処置」として、クロミフェンやゴナドトロピンによる排卵刺激法、プロゲステロン製剤投与、hCG投与などがあります。

ただし、体外受精では卵巣刺激により、下垂体からの黄体化ホルモン(Luteinizing hormone:LH)の分泌が低下し、黄体期間が短縮されるため妊娠率の低下につながると考えられています。そのため、新鮮胚移植を行う場合(採卵して得られた受精卵を一旦凍結せず、その周期内に移植する治療法)においてはプロゲステロン製剤を用いた黄体補充を行うことは有効であるとされています。2020年の欧州生殖医学会( European Society of Human Reproduction and Embryology,ESHRE)ガイドラインにおいても強く推奨されています。

上記治療において、プロゲステロン製剤の投与経路は、経腟投与の報告が多いものの、未だ最も効果的な投与経路の結論は出ていません。経口投与、筋肉注射、皮下注射、経腟投与などがありますが、臨床的妊娠率に差はないとされています。

投与開始については、採卵前、採卵日、採卵後から移植日、移植日以降など施設によりさまざまで一定の見解はありません。また、投与期間も妊娠判定までの2-3週間から、妊娠8-9週まで、あるいは妊娠12週までとさまざまです。

多施設からの報告をまとめると、採卵日以降から開始し、少なくとも妊娠判定まで継続することが推奨されますが、何週まで継続するべきかという明確なエビデンスはありません。

天然型プロゲステロン

薬品表

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vertical-align: top;
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/* 3列目の「マイクロナイズドプロゲステロン」セルの下の仕切り線をなくす */
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一般名
薬品名

※筋注剤
プロゲステロン
プロゲステロン注

経口
マイクロナイズドプロゲステロン
国内販売なし

膣用剤
マイクロナイズドプロゲステロン
ルティナス膣錠

ウトロゲスタン膣用カプセル

ルテウム膣用坐剤

ワンクリノン膣用ゲル

合成型プロゲステロン

薬品表

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padding: 10px;
text-align: center;
vertical-align: top;
}
th {
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}

一般名
薬品名

※筋注剤
ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル
プロゲデポー、プロゲストンデポーなど

クロルマジノン酢酸エステル
ルトラール

経口
ジドロゲステロン
デュファストン

メドロキシプロゲステロン
ヒスロン、プロベラなど

ノルエチステロン
ノアルテン

黄体機能不全の概要

黄体機能不全とは、排卵後に形成される黄体から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌期間の短縮、濃度の低下、受容する内膜側の感受性の低下などにより、黄体期の期間が10日以内となることを言います。
黄体機能不全という概念は1949年に初めて報告され、不妊や流産との関連が示唆されていますが、この疾患が単独でそれらの原因となるかはわかっていません。未だその病態の解釈について議論がなされており、明確な定義がなされておらず、過剰治療も懸念されています。
2021年のAmerican Society for Reproductive Medicine(ASRM)からのCommittee Opinionでも、不妊や初期流産の原因として黄体機能不全は注目されていますが、診断基準や処置に関する質の高い報告が少なく、現状では黄体機能不全の不妊の原因としての意義は明確ではないとされています。

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