黄体機能不全の原因
黄体機能不全の原因ははっきりとはわかっていませんが、関連する要因として、加齢、内分泌異常(多嚢胞性卵巣症候群、視床下部性無月経、21-水酸化酵素欠損症、甲状腺機能障害、高プロラクチン血症など)、摂食障害、肥満、過度の運動、著しい体重減少、ストレス、体外受精が挙げられます。また、特発性黄体機能不全という原因が不明なものもあります。
黄体機能不全の前兆や初期症状について
通常、黄体期の持続期間は12-14日とされますが、黄体機能不全では高温期が10日以内と定義され、月経周期が短縮することがあります。不正出血も生じることがあります。
上記のような症状が見られる場合は、産婦人科を受診しましょう。
黄体機能不全の検査・診断
これまで、黄体機能不全の診断には以下の方法が試みられてきました。
月経周期・基礎体温:高温期が10日未満
高温期の血中プロゲステロン濃度:高温期7日目前後で10ng/ml未満
子宮内膜日付診:黄体期中期から後期の内膜組織を検査し、排卵日などと比較し3日以上のずれがあれば異常と判断する。
ただし、これらの検査はそれぞれ問題があり、明確な診断方法は現時点では存在しません。
黄体機能不全の治療
一般不妊治療において、黄体機能不全に対する治療法で明確なエビデンスがあるものはありません。背景に高プロラクチン血症や甲状腺機能異常がある場合には、その治療が行われます。
また、試み的な対応として、排卵刺激法やプロゲステロン・hCGの投与が提案されています。
体外受精では、卵巣刺激によりLH分泌が低下し黄体期が短縮されるため、新鮮胚移植時にプロゲステロン製剤で黄体補充を行うことは有効とされています。2020年のESHREガイドラインでも推奨されています。
合成型プロゲステロン
黄体補充のためには天然型プロゲステロンが主に用いられ、合成型プロゲステロンは一般的に不妊治療には使用されません。
※いずれも筋注剤は2024年時点で製造・販売が中止されています。
黄体機能不全になりやすい人・予防の方法
生理周期が短い、基礎体温で高温期が短い方は黄体機能不全である可能性があります。黄体機能不全の明確な治療法はないものの、排卵障害や内分泌疾患が隠れている場合はその治療が必要です。まずは自身の生理周期や基礎体温を把握しましょう。
参考文献
生殖医療ガイドライン一般社団法人日本生殖医学会編
欧州生殖医学会
米国生殖医学会
生殖医療の必修知識一般社団法人日本生殖医学会編
配信: Medical DOC
関連記事: