中西圭三さんが「顔面神経麻痺」発症 5つの原因・なりやすい人の特徴【医師解説】

中西圭三さんが「顔面神経麻痺」発症 5つの原因・なりやすい人の特徴【医師解説】

シンガー・ソングライターの中西圭三さん(60)が自身のSNS(X/旧twitter)にて、「顔面神経麻痺(ベル麻痺)」と診断されたことを打ち明けました。「中等症と診断されました」「顔左半分に麻痺があり瞼も閉じられない状況です」とも語っています。顔面神経麻痺とはどんな病気なのでしょうか? その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて医師の田頭秀悟先生に解説してもらいました。

≫【イラスト解説】顔や手足の「痺れ」の原因

監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

顔面神経麻痺の概要

顔面神経麻痺とは、顔の筋肉を動かす神経(顔面神経)に麻痺が起きる病気です。顔面神経は脳から側頭骨・耳の下を通り、顔面の筋肉にはりめぐる神経で、さまざまな器官や筋肉を支配しています。
顔にある表情筋に信号を送り、目を閉じたり口を動かしたりしていますが、経路の途中に障害が起こると顔面神経麻痺を発症して麻痺した部分の表情筋を動かせなくなります。また、顔面の筋肉を動かして表情を作る以外に唾液や涙の分泌を促す役割も果たしているため、日常生活上でさまざまな困難を引き起こす危険な病気です。
見た目にも影響するため、心理的ストレスがなにより大きい病気です。顔面神経麻痺は、早期治療で治るものが大半ですが、原因によっては難治であり部分的な麻痺が残ることがあります。1年間で人口10万人あたり50人程が発症し、2割以上に後遺症が残るといわれています。

顔面神経麻痺の原因

顔面神経麻痺の主な原因は、以下のようなものが挙げられます。

ウイルス感染

外傷

細菌感染

腫瘍

先天性

顔面神経麻痺の多くの原因は、単純ヘルペス、水痘帯状疱疹ウイルスによる感染です。単純ヘルペスが関与するベル麻痺が全体の約60%を占めており、水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化により発症するラムゼイハント症候群が約20%を占めています。

疲れやストレスで免疫が落ちると、おとなしくしていたウイルスが暴れ出し神経を障害します。その他に、事故やけが・外科手術などで顔面の神経が損傷・切断されて起こる場合があり、全体の約10%です。また脳や顔面神経の経路にできる腫瘍による神経の圧迫で顔面神経麻痺を起こす場合もありますが、全体の10%未満です。

その他、中耳炎によるもの・先天性のものなどありますが、ともに発生頻度は低いといえます。まれな原因として、マダニに刺されて細菌感染し発症するライム病でも、顔面神経麻痺がみられることがあります。

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