食道がんの原因やなりやすい人の特徴
次に食道がんの要因となりやすい習慣や発症しやすい方の特徴を解説します。
喫煙量・飲酒量が多い
喫煙や飲酒と食道がんの関係について1990年から2004年に行われた調査があります。
まず喫煙について、喫煙経験のない方に比べて過去喫煙者は3.3倍、現在喫煙者は3.7倍の発生リスクが記録されています。また現在喫煙者のなかでも喫煙本数が多い方程食道がんの発生リスクが高まるとも記録されていました。
飲酒に関して普段飲まない方と比較した場合、毎日の飲酒量が1合未満で1.6倍・1合~2合では2.6倍・2合以上では4.6倍の食道がんの発生リスクとなっています。喫煙や飲酒の習慣は食道がんの発生リスクを高めるといえるでしょう。
男性
食道がんは女性より男性が発症しやすい症状です。食道がんを発症する確率は男性が2%で女性が0.4%となっています。男性の発症率は女性の約5倍です。
ビタミンが不足している
野菜や果物の摂取は食道がんの予防につながります。野菜と果物を合計して多く摂取する方は摂取量の少ない方に比べて、食道がんの発生リスクがほぼ半分になるとのデータがあります。
また野菜と果物の毎日の合計摂取量が100g増加すると、食道がんの発生率がおよそ10%下がるという記録もありました。このデータから、ビタミン不足は食道がんの発症につながりやすいといえるでしょう。
熱いものや辛いものをよく食べる習慣がある
温度が熱いものを日常的に摂取すると食道がんのリスクが高まるともいわれています。
国際がん研究機関では65度以上の飲食物に気をつけるように指摘しています。熱いお茶類は約90度で摂取されることが少なくないので注意が必要といえるでしょう。
お茶の成分が食道がんのリスクを高めるわけではありません。また辛いものが食道を通るときの刺激も食道がんにつながりやすいとされます。
頭頸部がんの既往がある
食道がんの発症にはほかのがんを併発するケースが多く見られます。頭頸部がん・胃がん・肺がん・大腸がんなどが併発しやすいがんといえるでしょう。
このなかでも頭頸部がんは食道がんとの併発が多く報告されているがんなので、頭頸部がんの治療後も食道がんへの注意が必要かもしれません。
食道がんの症状
食道がんの症状にはいくつかの特徴があります。食道がんを疑うべき症状について解説しましょう。
初期には自覚症状が出ないことが多い
食道がんは初期症状が出にくいがんとして知られています。
したがって自覚症状が出てきたときには症状がかなり進行していることも少なくありません。食道がんの初期段階の発見には内視鏡検査が有効だといえるでしょう。内視鏡検査で発見された初期段階の食道がんは完治の可能性が高くなります。
嚥下障害
食道がんの症状としてまずは嚥下障害が挙げられます。嚥下障害は飲食物の呑み込みに困難を感じる症状で、食道がんの腫瘍が飲食物の通り道を圧迫することによって発症します。
嚥下障害が進行すると、飲食物の摂取が困難になることにより栄養失調や脱水症状につながるかもしれません。嚥下障害を自覚した時点で食道がんがステージ3まで進行しているケースも多く見られます。嚥下障害は食道がんを発見するための重要なサインだといえるでしょう。
飲食時の胸の違和感
飲食時の胸の不快感も食道がんの典型的な症状です。不快感としてよく見られる症状は胸焼けで、胃酸が逆流することが原因といえます。
ただし胃酸が逆流する原因としては食道がん以外にも胃食道逆流症があります。胃酸の逆流による胸の不快感の原因が食道がんだとは断定できないので、食道がんの検査が必要だといえるでしょう。
体重減少
飲食物の飲み込みが困難になり体重減少が起こった場合、食道がんはかなり進行していることが疑われます。
食道がんの治療に移るときに体重減少による体力の低下が悪影響を与えるケースもあるでしょう。目安として3ヶ月に5kg以上の体重減少が見られる場合は検査をした方がよいかもしれません。
胸や背中の痛み
食道がんが進行して周りの器官を圧迫するようになると、胸や背中に痛みを感じることがあります。
これらの症状は食道がんだけでなく胸や背中の疾患でも見られるため、食道がんの発症を断定することができません。ただし胸や背中の病気を疑っていると実は食道がんだというケースがあるかもしれません。早期の検査が必要な症状といえるでしょう。
声のかすれ・せき
食道がんが肺や気管支にまで悪影響を与えると、声のかすれや咳といった症状を発症する場合もあります。
これらの症状は食道がん以外が原因であるケースもあります。しかし耳鼻咽喉科で検査を受けると食道がんが見逃されてしまうこともあるでしょう。これらの症状が出た場合は食道がんの発症も疑う心がけが必要かもしれません。
配信: Medical DOC