すべり症の治療
すべり症の治療は、症状の重さや進行具合に応じて異なります。
一般的には、保存的治療(手術を行わない治療)から始め、必要に応じて手術療法が検討されます。
保存的治療
軽度から中等度のすべり症の場合、まずは保存的治療が行われます。以下は、保存的治療の主な方法です。
薬物療法:
痛みを和らげるために、鎮痛薬や抗炎症薬が使用されます。場合によっては、神経痛を緩和する薬も処方されます。
理学療法(リハビリテーション):
背骨の安定性を向上させるために、理学療法が行われます。ストレッチや筋力トレーニングを通じて、背骨や腰の筋肉を強化し、症状を軽減します。
装具療法:
腰部をサポートするために、コルセットや腰部ベルトなどの装具が使用されることがあります。これにより、脊椎の安定性を保ちながら痛みを軽減します。
生活習慣の改善:
体重の管理や正しい姿勢を保つことが、すべり症の進行を防ぐために重要です。特に、長時間座っている姿勢や前かがみの姿勢を避けることが推奨されます。
手術療法
保存的治療で効果が見られない場合や、神経の圧迫が強く、日常生活に支障をきたしている場合には、手術が検討されます。手術の目的は、ずれた椎骨を元の位置に戻し、神経の圧迫を取り除くことです。
脊椎固定術:
すべり症の手術で最も一般的な方法です。ずれた椎骨を金属製のプレートやネジで固定し、脊椎を安定させます。
椎間板摘出術:
すべり症が椎間板に影響を及ぼしている場合、椎間板の一部または全体を除去する手術が行われることがあります。
神経除圧術:
神経が圧迫されている場合、その圧迫を取り除くために、骨や靭帯の一部を除去する手術が行われます。
すべり症になりやすい人・予防の方法
すべり症になりやすい人
すべり症は、特定の人々に発症リスクが高い傾向があります。以下は、すべり症になりやすい人の特徴です。
高齢者:
加齢に伴い、椎間板や靭帯の劣化が進むため、すべり症のリスクが高まります。
運動選手:
激しい運動を行うスポーツ選手は、脊椎に負担がかかるため、すべり症になりやすいです。
肥満の人:
体重が多いと脊椎にかかる負担が大きくなり、すべり症のリスクが高まります。
予防の方法
すべり症を予防するためには、以下のような生活習慣の改善が効果的です。
適切な運動:
腰部や背中の筋肉を強化するために、定期的な運動を行うことが推奨されます。特に、体幹を鍛える運動が効果的です。
体重管理:
適切な体重を維持することで、脊椎にかかる負担を軽減し、すべり症の予防につながります。
正しい姿勢:
座る際や立つ際の姿勢に気をつけ、背骨に無理な負担をかけないようにしましょう。特に長時間のデスクワークでは、背筋を伸ばした正しい姿勢を保つことが重要です。
重い物を持ち上げる際の注意:
重い物を持ち上げる時は、膝を曲げて腰に負担がかからないようにすることが大切です。
すべり症は、早期発見と適切な治療が重要です。
日常生活で腰に違和感を感じた場合は、早めに医師に相談し、症状の進行を防ぐための対策を講じましょう
参考文献
UpToDate 腰部脊柱管狭窄:治療と予後
UpToDate 小児および青年期のアスリートにおける脊椎分離症および脊椎すべり症
日本整形外科学会「腰椎分離症・分離すべり症」症状・病気を調べる
配信: Medical DOC