車の運転は何日目から可能なのかを、みずたに眼科の水谷先生に問うてみたところ、「見え方に慣れるまで1週間ほどかかる」ため、「新しい見え方に慣れて、安全面で自信を得てから」と説明しているそうです。明確に〇日とはならない理由はどこにあるのか、詳しく話を聞きました。
監修医師:
水谷 武史(みずたに眼科)
名古屋市立大学医学部卒業、名古屋市立大学大学院医学研究科修了。大学病院や民間病院で臨床を積んだ後の2018年、愛知県名古屋市に「みずたに眼科」開院。「一人ひとりに向き合う診療」をコンセプトとしている。医学博士。日本眼科学会認定専門医。日本眼科手術学会、日本網膜硝子体学会、日本小児眼科学会の各会員。
編集部
白内障手術は、日帰りが可能なんですよね?
水谷先生
可能です。ただし、別日程の事前検査や手術日の予約が必要です。ですから、緊急事態などを除き、予約なしに眼科を訪れてその日のうちに手術が終わるというわけではありません。また、事前検査や既往歴などから、手術そのものを見送らせていただく場合があります。
編集部
手術後はすぐに帰れず、少し休むのはなぜですか?
水谷先生
手術という“強いプレッシャー”を受けた後ですから、血圧が上がったりフラフラしたりする可能性があるからです。しかも、手術した方の目に眼帯をしているので、その状態の見え方に慣れる必要があります。そのため、30分ほどは院内で様子を見ます。もちろん、眼帯をつけたままの運転は危険ですから、車での来院をお控えください。
編集部
ズバリ、車の運転は術後の何日目から可能ですか?
水谷先生
「見え方に慣れるまで1週間ほどかかる」とご説明していますが、手術翌日には運転に問題ない視力が得られていることが多い傾向にあります。術後視力が良好であれば、推奨はしないものの、翌日からでも運転できるとは思います。そのため、「実際に運転を開始するのは、患者さん自身が新しい見え方に慣れて、安全面で自信を得てから」と説明しています。ただし、手術前に使っていた眼鏡の度数が合わなくなることが考えられます。そうなると、「運転は眼鏡の新調が終わって十分な視力が確認できてから」となります。
編集部
待ってください。手術をしたら裸眼で運転できるのではないのですか?
水谷先生
いいえ。全員が裸眼で運転できるわけではありません。そして、術後の裸眼での見え方は、遠方と近方どちらに合わせるかを術前に相談します。眼内レンズを遠方に合わせれば裸眼での運転が可能ですが、その場合、読み書きには老眼鏡が必要になります。反対に、近方に合わせたとしたら読み書きは裸眼で快適ですが、運転には眼鏡が必要となります。
編集部
お風呂とかって入ってもいいのでしょうか?
水谷先生
術後2日間は首から下のみにして、なるべく目に水が入らないように気を付けていただき、経過が良好であれば3日目以降は洗顔、洗髪も含め通常の日常生活に戻っていただいていいと説明しています。あとは、ウォータスポーツですが、目に入るのがプールの水か濁った海水かでも異なると思いますが、術後1か月くらいは控えてもらえると安心です。
編集部
仕事面でも影響が出そうですね。
水谷先生
仕事については、職場が清潔なオフィスなのかホコリっぽい倉庫なのかでも違ってきますが、内容によっては術当日からでも働ける場合もあります。こうしたライフスタイルについてのお悩みも、担当医とご相談されるといいと思います。
※この記事はMedical DOCにて【白内障手術を受けた直後は、車の運転ができないのはどうして? 免許更新が近い場合はどうすればいい?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC
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