「硝子体出血」はどのくらいで治るのか医師が解説 放置しているとどうなる?

「硝子体出血」はどのくらいで治るのか医師が解説 放置しているとどうなる?

硝子体出血の治療

硝子体出血の治療法は、基本的に硝子体を取り除く手術がおこなわれます。ただし、出血量が少なく、自然に吸収されていく可能性が高いと考えられるなど、治療に緊急性がないと判断できた場合は、経過観察となるケースもあります。

硝子体出血と同時に網膜剥離の危険性が認められる場合は、放置すると失明に至る可能性が高いため、より緊急の治療として硝子体手術をおこないます。

また糖尿病などの全身疾患が原因で硝子体出血が生じている場合には、その疾患に対する治療も並行しておこないます。

経過観察

硝子体出血の程度や症状が軽く、かつ網膜剥離の恐れがないと診断できた場合は、そのまま安静にして経過観察となることが多いです。
硝子体内に溜まった血液が自然に吸収された場合は、手術の必要はなくなります。しかし、出血が濁りや曇りとして残ってしまう場合もあり、その際の治療手段は硝子体手術となります。

硝子体手術

硝子体から、血液により混濁した部分を取り除く手術を、硝子体手術といいます。
経過観察を経ても硝子体出血の症状がおさまらない場合や、出血の量が多い場合は、手術を選択します。

硝子体手術では、出血により混濁した部分の硝子体を吸引除去します。手術により初めて眼底の様子が明らかになる場合もあるため、出血が続いていたら止血処置、網膜剥離の危険性があればその治療など、網膜周辺の手術処置を追加することがあります。

硝子体手術は、眼科治療の中でもたいへん繊細で、難易度の高い手術に分類されます。ただし、専用器具の発達とともに低侵襲化が進み、現在では日帰り手術も広くおこなわれるようになっています。

硝子体手術が成功すると、出血により低下していた視力は回復します。ただし、網膜など他の組織に問題があった場合は、すべての症状が改善するとは限りません。
原因となっている病気によっては、硝子体出血を再発するリスクも残ります。したがって、手術後には関連する病気の治療が必要となる例が大半です。

硝子体出血になりやすい人・予防の方法

硝子体出血は、誰にでも起こり得ますが、若い世代の人や特に持病のない健康な人にとっては、それほど発症リスクの高い病気ではありません。

一方、糖尿病などをすでに発症している人、あるいは網膜周辺のトラブルが増える中高年以降の人は、硝子体出血の発症リスクが特に高いと言えます。また、持病などで血液をサラサラにする薬を定期的に内服している方は、一度出血すると止まりにくく、出血量が多くなる傾向、また吸収されにくい傾向がありますので、注意が必要と言えるでしょう。

硝子体出血を予防する方法として、以下の点に注意しましょう。

糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症予防に努める

中高年以降は、自覚症状はなくとも定期的に眼科を受診する

糖尿病などをすでに発症している人は、医師の指示に従い、治療と検査を継続する

関連する病気網膜剥離糖尿病網膜症網膜静脈閉塞症飛蚊症

感染性眼内炎

加齢黄斑変性

網膜裂孔

イールズ病

参考文献

公益財団法人日本眼科学会硝子体手術

公益財団法人日本眼科医会飛蚊症と網膜剥離

厚生労働省糖尿病で失明しないために

国立国際医療研究センター糖尿病情報センター「網膜症」

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