眼精疲労が続いている、視界の一部が欠けて見えるなどの症状はありませんか？これらの眼の症状は緑内障である可能性があります。

緑内障は一度患ってしまうと、眼の機能を正常に戻すことが難しく、早期発見と早い段階で治療を行っていくことが大切な病気です。

この記事では緑内障の症状・治療・検査について解説します。眼の健康を守るため、お役に立てれば幸いです。

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監修医師：
柳 靖雄（医師）

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

緑内障の初期症状

緑内障とはどのような病気ですか？

緑内障とは40歳以上の方のうち5%、60歳以上の方の1割が患っている病気です。40歳以上の方の4人に1人が緑内障であるといえます。日本では失明リスクの上位にあたる病気です。眼球のなかは房水という水で満たされています。房水の役割は水晶体や角膜などに、酸素と栄養素を送り届けることです。この房水があることで、眼球の形を維持することができます。房水が眼の中で生産され、静脈に流れていく圧のことを眼圧といい、10mmHgから20mmHgが正常値です。この眼圧が上昇すると網膜神経節細胞や軸索という部位が影響を受け、機能が低下したり失われてしまったりします。これにより脳に視覚情報が伝えられなくなり出現する症状が、視力の低下や視野が欠けるといった状態です。緑内障は慢性緑内障と急性緑内障にわけることができます。慢性緑内障では初期症状はほとんどありませんが、進行することで視野が一部欠けたり見え方に違和感を覚えたりすることがあります。危険なのは視野が狭まってきた状態も放置し続けると失明のリスクが高まることです。急性緑内障は早急に治療が必要な緑内障です。眼の痛み・視力低下・充血・吐き気・頭痛などの症状が急に現れます。ほとんどが夕方から夜にかけての発症といわれています。これらの症状を自覚したら、病院を受診するようにしましょう。緑内障はさらに2種類に分けることができます。

開放隅角緑内障

閉塞隅角緑内障

原発緑内障

続発緑内障

これは、眼の中の隅角という水を流れる部分が開放しているか閉塞しているかの違いです。開放隅角緑内障は、房水の通る道自体は開放されているが何らかの影響で目詰まりを起こした状態です。それにより房水は流れることができず、眼球に溜まり続けることで眼圧が上昇していきます。閉塞隅角緑内障は房水が流れる繊維柱帯が何らかの影響で閉じてしまった状態です。この状態も房水を排出できなくなるので、眼圧が上昇します。原発緑内障は眼圧の上昇の原因を見つけられない状態、続発緑内障はほかの眼疾患・全身疾患・薬物の影響で眼圧が上昇し発症する緑内障のことです。隅角の発達異常が発生すると、子どもでも緑内障を発症することがあります。どのタイプの緑内障と診断されるかによって治療方法が変わります。緑内障と診断された場合、どのタイプの緑内障になったのか眼科医に確認するようにしましょう。閉塞隅角緑内障の場合、使用できない内服薬や注射薬があるので注意が必要になります。

緑内障に初期症状はありますか？

緑内障の初期症状はほとんどありません。眼精疲労や肩こりなどの症状が現れることがあります。典型的な症状は以下のとおりです。

視野が狭くなる

視野の一部が欠ける

見え方に違和感がある

眼がかすむ

緑内障は少しずつ進行していく病気なので、これらの視野障害が自覚できるようなときには緑内障がかなり進行している可能性があります。緑内障のセルフチェック方法をご紹介します。

ノイズフィールドテスト

クロックチャート

FDTチェック

ノイズフィールドテストは砂嵐が映っている画面を利用して行われるテストです。見えにくい部分があったり、一部が欠けて見えたりするときには注意しましょう。クロックチャートは絵を使って視野が欠けていないか確認する方法です。FDTチェックは音に合わせて視野で見えていない部分がないかを確認する方法です。眼科医に相談したりインターネットで検索したりすると自身でもチェックできるので、気になる方は行ってみてください。

緑内障の初期症状を感じたときにするべきことはありますか？

緑内障を疑うような視野障害を自覚したときには、すぐに眼科を受診するようにしましょう。緑内障は効果的な治療法がなく、進行すると失明する可能性もある病気です。少しだけだから、たまたまかななど油断しないようにしましょう。気になる症状がなくても、眼科を受診し検査するのもよいでしょう。

緑内障の予防法

緑内障の予防法を教えてください。

緑内障の効果的な予防方法はほとんどありません。効果的な予防は定期的に眼科を受診し検査を受けることです。緑内障は一度進行したら改善させることが難しく、治療としてできることは症状の進行を抑えることだけです。少しでも早く緑内障を発見することが大切なので、発症者が増加する40歳以降の方は半年から1年に一度眼科での定期検診を受けることをおすすめします。

喫煙が緑内障に与える影響を教えてください。

喫煙をするとたばこに含まれるニコチンが血管を収縮させます。すると血流の流れを悪くさせ、眼圧の上昇につながります。緑内障は眼圧が上昇することで視神経を圧迫し発症・悪化するため、喫煙は悪影響といえるでしょう。

白内障との違いについて教えてください。

緑内障と白内障では症状が異なりますが、治療についても異なります。緑内障は視野の一部が欠けたり、視野が狭くなったりする病気です。対して白内障は、眼のなかの水晶体が白く濁ることで視野が不鮮明になる病気です。症状としては眼のかすみやぼやけが現れます。治療について緑内障では症状を改善させることが難しく、なるべく視野の現状維持を行っていくことが治療です。白内障は、白く濁った水晶体を取り除く手術を行うことで視力を回復させることができます。

配信： Medical DOC