上咽頭がんの治療
上咽頭がんの治療は、がんの進行の程度を示すステージ(病期)やがんの性質、本人の希望や体の状態、年齢などによって判断されます。
上咽頭は、手術が難しい位置にあるため、放射線治療や、抗がん剤を併用する化学放射線療法が中心となります。首のリンパ節に転移がみられる場合も、手術によって切除しても再発する可能性が高いため、放射線治療が優先されます。
ただし、放射線治療後に首のリンパ節にがんが残っている場合には、手術が行われることがあります。
上咽頭がんの放射線治療は、1日1回体の表面から放射線を照射し、週5日、6〜7週間継続することが一般的です。抗がん剤による薬物療法と放射線治療をあわせた化学放射線療法が、より治療効果を高め、治療後の再発リスクも下げることが期待できるとされており、多くの場合で化学放射線療法が実施されます。
上咽頭がんは、放射線治療や抗がん剤による薬物治療で、がんが小さくなったり、消失したりしやすい傾向があるがんです。
上咽頭がんになりやすい人・予防の方法
上咽頭がんはあらゆる年代で発症しますが、女性よりも男性に多い傾向があります。多くの上咽頭がんでは、EBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)が発生リスクを高める要因として考えられていますが、EBウイルスの感染だけでなく、遺伝子変異などの条件があった場合に上咽頭がんになりやすい可能性が高くなると考えられています。
喫煙や過度の飲酒は、上咽頭がんを含む口腔・咽頭がん、食道がんなどの発症リスクを高めることが明らかになっています。日常的に喫煙や飲酒の習慣がある人は、上咽頭がんになりやすい可能性があるため、予防には禁煙や節度のある飲酒が重要です。
また、上咽頭がんの発生が多い地域で塩漬けにした魚などの食品を広く食べる習慣があることから、塩分の高い漬物や保存食などを食べる習慣がある方も上咽頭がんになりやすい可能性があります。塩分の摂取を控えたバランスのよい食事を心がけるようにしましょう。
関連する病気
頭頚部がん
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副鼻腔がん上顎洞がん中咽頭がん下咽頭がん喉頭がん唾液腺がん甲状腺がん滲出性中耳炎伝染性単核球症
バーキットリンパ腫
参考文献
国立がん研究センターがん情報サービス がん種別統計情報 上咽頭がん
一般社団法人日本頭頚部癌学会 頭頚部がん Ⅲ.臓器別の診断治療の概要
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)全国がん罹患データ(2016年~2020年)
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)5年相対生存率(1993年~2011年診断例)
日本口腔・咽頭科学会雑誌 日本口腔・咽頭科学会雑誌 上咽頭癌と Epstein‑Barr ウイルス:発癌機構から臨床へ
一般社団法人日本感染症学会 伝染性単核球症
国立感染症研究所感染症情報センター 伝染性単核症とは
国立研究開発法人 国立がん研究センター 喫煙、飲酒と口腔・咽頭がん罹患リスクについて
配信: Medical DOC
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