腎性貧血の治療
腎性貧血の治療はEPOの不足を補うような薬剤 (ESA製剤) の投与が中心となります (参考文献 3) 。ESA製剤の効果や副作用の有無を定期的に評価しながら、適切な治療にもかかわらず効果が不十分な場合には必要最小限度の輸血をする場合もあります (参考文献 3) 。
もちろん背景の腎疾患の治療・管理も並行して行います。
最近ではESA製剤に加えてHIF-PH阻害薬とよばれる製剤も選択肢に入ってきました。経口で治療できるというメリットがありますが、使用前に眼科疾患や悪性疾患のチェックが必要です (参考文献 4) 。
腎性貧血になりやすい人・予防の方法
ベースとなる腎疾患や腎機能障害がある人は腎性貧血発症のリスクを抱えているといえます。何らかの腎疾患や腎機能障害が3カ月以上続くことを慢性腎臓病 (CKD) とよびますが (参考文献 5) 、このCKDが進行して腎機能がどんどん下がってくることを防ぐことが一番の腎性貧血予防になります。
CKDの発症予防は腎性貧血の発症予防にもなります。CKDの原因には色々なものがありますが、原因の1つである糖尿病や高血圧のような生活習慣病の予防はCKDの発症を防ぐことにつながります。その点では運動習慣や食習慣を見直すことはCKD や腎性貧血の予防になるといえるでしょう。
○○腎炎と名前がつくものの中には、しっかりと治療をすることで完治や腎機能の低下を長期にわたって防ぐことができるものも多いです。
学校や職場の検診で腎臓や血糖、血圧のことを指摘されたら放置せず、速やかに適切な治療を開始することで、腎性貧血の発症を予防することができるでしょう。
参考文献
1.UpToDate. Patient education: Anemia overview (The Basics)
2.UpTODate. Patient education: Chronic kidney disease (The Basics)
3.日本透析医学会. 2015年版 日本透析医学会 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン. 透析会誌 49(2): 89~158. 2016
4.日本腎臓学会, HIF-PH 阻害薬適正使用に関する recommendation. 日腎会誌 2020; 62(7): 711‒716.
5.UpToDate. Overview of the management of chronic kidney disease in adults. Jun 11, 2024.
配信: Medical DOC
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