●子の生活のためにも「主張できる権利は主張すべき」
──不倫相手の男性にも慰謝料を負担してもらうことはできるのでしょうか。
不倫慰謝料は、相談者の女性と不倫相手の共同責任なので、負担を求めることは可能です。
──具体的にはどんな進め方が考えられますか。
まず、相談者と夫、不倫相手の3人で慰謝料額や支払いについて取り決めることが考えられます。例えば、夫に対しては減額を求めつつ、不倫相手にも半分払ってもらうよう求めるなどです。
また、いったん慰謝料を相談者が夫に払った後、不倫相手に慰謝料の一部を分担するよう求める、という方法も考えられます。ただ、この方法だと不倫相手が負担を拒んだ場合に相談者としては困るので、不倫相手が後から分担してくれそうかも含めて、事前によく検討すべきでしょう。
──相談者としては、男性に負担を求めることで、男性の妻にも迷惑がかかることを心配しているようです。この点は特に配慮する必要はないのでしょうか。
違法かどうかという問題と、気持ちの問題を分けて考えるといいと思います。
まず、不倫相手はいわば不倫についての共犯で、基本的には相談者と同じく慰謝料を支払う義務があります。夫からの慰謝料請求に対して負担を求めても何ら違法ではありません。
他方で法律を離れた気持ちの問題として、不倫した挙句に金銭的にも不倫相手の妻に負担をかけることになれば申し訳ない、という気持ちは理解できます。例えば、法律的には請求できるがあえて請求しないなど、不倫相手の妻に配慮することは考えられます。
なお、男性の妻から見ると、相談者は「夫の不倫相手」ですので、(相談者が不倫相手に負担を求めるかどうかに関わらず)今後相談者に対して慰謝料請求してくる可能性はあります。
不倫が原因で離婚する場合、慰謝料以外にも、財産分与をどうするか、離婚後の養育費をどうするかなど、色々と争いになることが多いです。
不倫してしまった引け目もあり、譲歩しすぎてしまうケースもみられますが、手元の財産は子どもの今後の生活を支えるものです。謝るべきところは謝った上で、主張できる権利は主張するようにされるとよいでしょう。
【取材協力弁護士】
村山 大基(むらやま・だいき)弁護士
事務所名:村山法律事務所.
事務所URL:https://www.bengo4.com/kyoto/a_26100/g_26104/l_435981/
京都弁護士会所属。平成26年弁護士登録、勤務弁護士を経て独立後、平成28年に村山法律事務所設立。離婚や男女問題・相続といった民事事件のほか、刑事事件にも力を入れています。
「不倫・不貞慰謝料を請求された場合の初期対応ガイド」Amazon電子書籍にて販売中 (http://www.amazon.co.jp/dp/B0D6R6X7H6)。
配信: 弁護士ドットコム