5、現住建造物等放火罪で逮捕されたときの対処法
現住建造物等放火罪でご自身やご家族が逮捕されてしまった場合、逮捕後の流れや取調べの際の注意点をしっかりと把握しておくことが大切です。
現住建造物等放火罪の法定刑は重いので、何も考えずに逮捕や取調べを進めてしまうと想像以上に重い刑罰が科せられる可能性があります。
逮捕された場合や逮捕されそうになっている場合は、以下の点を確認しておきましょう。
(1)逮捕後の流れ
逮捕されると最大で72時間、家族であっても面会は許されません。
逮捕後は、48時間以内に、事件が警察官から検察官に送られます。
そこから24時間以内に、検察官が、被疑者を引き続き身体拘束するのか、いったん釈放するのかを決めます。
現住建造物等放火罪は重大犯罪ですので、犯行が疑われる以上、通常は勾留請求が行われます。
なお、犯罪そのものが捜査機関に発覚する前や捜査機関が犯人を把握する前に、自己の犯罪事実を自主的に捜査機関に申告した場合、自首が成立します。
自首は法律上の減軽事由に該当するため、自首をすることで刑が軽くなる可能性があります(刑法第42条)。
逮捕の流れについては以下の記事もご参照ください。
(2)取調べでは正直に話すこと
刑罰を科せられることへの恐怖から取調べで嘘をついてしまう人がいますが、取調べでは正直に話すことが大切です。
一度嘘をつくと、その嘘を隠し通すためにさらに別の嘘を積み重ねる等して、話の辻褄が合わなくなることがあります。
このように罪責を免れるために虚偽の弁解をしていると「反省していない」と受け取られてしまい、余計に処分が重くなる可能性が高くなります。
罪を犯したのなら、取調べでは正直に話していきましょう。
ただし、取調官に迎合すると実際よりも悪質な調書を取られて不利になるおそれがあります。
正直に話すことは大切ですが、実際よりも不利な内容が証拠として残ることは避けなければなりません。
調書の内容が間違っている場合や実際よりも誇張して書かれている場合は、調書が間違っていることを取調官に伝え、言い分を聞き入れてもらえない場合は調書へのサインを拒否しましょう。
また、取調べ中は黙秘権を行使できますので、言いたくないことを言わないという選択をすることも可能です。
(3)被害者と示談をする
科せられる刑罰が決まる前に被害者との示談が成立したことは、刑罰を軽くすることに有利に働く場合があります。示談できるのであれば被害者と示談をしましょう。
被害金額が莫大で示談不能な場合でも、真摯な謝罪や見舞金の支払いなどをしておくと有利な情状として取り扱われ、量刑の軽減につながります。
被害者との示談がなされている場合、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるとき」に該当し、刑が酌量減軽されるケースがあります(刑法第66条)。
必ず酌量減軽されるわけではありませんが、少しでも刑を軽くするために最善を尽くしていくことが大切です。
現住建造物等放火罪の法定刑は最低でも5年以上ですので、刑事裁判では原則として執行猶予は付きません。
執行猶予は、懲役刑の場合は言い渡される刑期が3年以内でなければ付けられないのです(刑法第25条1項)。
しかし、酌量減軽が認められると、法定刑の下限が2年6ヶ月にまで下がります(刑法第71条)。
そのため、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が出てきます。
したがって、現住建造物等放火罪のような重大犯罪を犯してしまった場合は特に、被害者への謝罪、示談、反省などによって有利な情状を作出することが重要となります。
6、現住建造物等放火罪を起こしてしまったらすぐ弁護士に相談を
現住建造物等放火罪を犯してしまったらすぐに弁護士に相談をするようにしましょう。
弁護士に相談をすれば今後の刑事手続の流れや対処法を知ることができます。
現住建造物等放火罪は被害者に重大な損害を与えているケースがほとんどですから、弁護士に依頼をし被害者との示談交渉を進めることが重要です。
被害者と示談が成立していることは量刑を考える際の重要な要素となります。
被害者との示談を加害者が直接進めることができなくても、間に弁護士が入ることで示談交渉をスムーズに進めやすくなるので、弁護士の協力を得ながら交渉していきましょう。
また、一度逮捕されてしまうと、人との交流が遮断され不安な気持ちになる人がほとんどですが、弁護士であれば逮捕後すぐに被疑者と面会をすることが可能です。
弁護士に依頼をしておくことで取調べのアドバイスや今後の流れの説明を聞くことができ、精神的な支えにもなるでしょう。
配信: LEGAL MALL