監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
がん性腹膜炎の概要
がん性腹膜炎とは、がんが腹膜に転移し、腹膜炎を起こした状態です。
腹膜というのは、お腹の中で大事な臓器を覆っている薄い膜のことです。
肝臓や胃、小腸、大腸などの臓器を覆う「臓側腹膜」と、お腹の内側の壁や横隔膜、骨盤腔を覆う「壁側腹膜」からなっています。
この腹膜に炎症が起こることを腹膜炎と呼びます。
がん性腹膜炎ではお腹の中に腹水が溜まることで、腹痛や吐き気、食欲の低下、息苦しさなどの症状が現れ、全身状態が悪化します。
すべてのがんで発症する可能性がありますが、とくに胃がん、卵巣がんで発症することが多いです。
治療は原因となる疾患の治療が中心となり、そのほか、がん性腹膜炎によって起こるさまざまな症状を緩和させるための対症療法が行われます。
がん性腹膜炎の原因
腹部には腹膜と呼ばれる一層の細胞で覆われた大きな空間があり、その中には胃や腸、肝臓、胆嚢などの消化器官や、卵管や子宮などの女性生殖器があります。
これらの臓器にできたがんが悪化すると、内側の粘膜から外側の表面まで進みます。
表面から剥がれたがん細胞が腹膜の中に散らばることで、がん性腹膜炎が生じます。
がん性腹膜炎は主に腹部の臓器である、胃などの消化器官のがんや卵巣などの女性生殖器のがんから発生しますが、食道がんや乳がんなど腹部以外のがんから発生するケースもあります。
また、外科手術中に腫瘍が破裂することで、がん細胞が腹膜に広がり、腹膜炎を引き起こすこともあります。
配信: Medical DOC