「がん性腹膜炎」の初期症状はご存知ですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

「がん性腹膜炎」の初期症状はご存知ですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

がん性腹膜炎の前兆や初期症状について

がんが腹膜に転移しても最初は非常に小さく、症状は出ないことが多いです。しかし、がん細胞が大きくなるにつれて、さまざまな症状が現れます。

がん性腹膜炎は、お腹の中で炎症が起こっているため、腹痛や吐き気などの腹部症状が出ることが多いです。

食べたものが逆流する感じや、息がしづらくなることもあります。
また、気持ち悪くなったり、吐いてしまったりする場合、食欲が落ちて体重が減ってしまうこともあります。

がん性腹膜炎が進行すると、腸閉塞、腹水、水腎症などの症状が現れることがあります。

腸閉塞

がんが腹膜に広がることで、腸に癒着が生じたり、がん細胞が増殖したりすることがあります。
これにより、腸の通り道が狭くなり、食べ物や消化液が正常に移動できなくなる状態が腸閉塞です。
この腸閉塞が起こると、腹痛や吐き気、お腹の圧迫感、嘔吐、便秘などの症状が現れます。

腹水

がんが原因で炎症を起こすと、体内の液体が漏れて腹腔内にたまります。この液体が腹水です。

腹水によりお腹の中で圧迫感が生じた場合、空腹でも食事をするのが難しくなり、食べ物を摂ることでさらに圧迫感が増すため、息が苦しくなることもあります。

水腎症

水腎症とは、腎臓や尿管が正常に働かなくなり、尿が腎臓や尿管に溜まってしまう状態のことです。腎臓は背中側に位置しているため、この状態が長く続くと背中に痛みを感じることがあります。

また、尿がたまることで腎臓の機能が低下し、排泄されない尿に細菌が増えてしまい感染症が起こることもあります。

がん性腹膜炎の検査・診断

お腹の中の臓器や腹水の中にがん細胞が見つかると、がん性腹膜炎と診断されます。
がん細胞が腹腔内に広がっても、最初は非常に小さく目に見えません。

大きな塊になると、超音波検査やCT検査などの画像検査でも異常を発見することができます。ただし初期には画像検査では診断がつかないことも多く、がん性腹膜炎の状態を正確に把握するためには、腹水検査やがん細胞を顕微鏡で観察する必要があります。

腹水検査

腹水を確認するために、指でお腹を押して波のような動きを感じたり、体の向きを変えることで濁った音の場所が動くことを調べたりします。
また、エコー検査やCT検査で腹水の量やお腹の状態を確認したり、腹腔穿刺という方法で腹水を少しだけ取り、性状を確認したりする場合があります。

術中洗浄細胞診

術中洗浄細胞診は、がんの進行状況を詳しく調べるための検査方法です。
手術中に、胸や腹に生理食塩水を注入しその液体を回収します。
回収した液体を顕微鏡で調べると、肉眼では見えないがん細胞が見つかることがあります。

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