がん性腹膜炎の治療
がん性腹膜炎の治療は主に原発がんに対する化学療法と、症状を和らげるための治療が中心です。
化学療法の内容は元のがんの種類に応じて決定されます。
化学療法
がん性腹膜炎は手術だけでは治すことが難しく、放射線治療もお腹全体に行うのは難しいため、抗がん剤を使った化学療法が中心となります。
抗がん剤には、飲み薬と、注射や点滴で投与する薬があり、注射薬を直接お腹の中に入れる治療方法(腹腔内化学療法)もあります。
対症療法
がん性腹膜炎によって生じる様々な症状を和らげるために、痛み止めなどを用いて症状の緩和を目指します。
消化管が詰まって食事ができなくなった場合には、内視鏡で管を広げるステント留置術が検討されます。
腹水に対しては、利尿薬を使い腹水を減らしたり、腹水を抜いて症状を和らげる方法(腹水穿刺排液)があります。最近では体に有用な成分だけを取り出して再度体に戻す方法(CART)も用いられています。
がん性腹膜炎になりやすい人・予防の方法
がん性腹膜炎は、すべてのがんで発生する可能性がありますが、特に胃がん、大腸がん、卵巣がんなどで発生しやすいとされています。
確実な予防方法はありませんが、原疾患の治療を適切に行うことが最も重要です。
がんの早期発見と治療が、がん性腹膜炎の発症を防ぐための基本です。
さらに、がんが再発したり転移したりしないかどうかを定期的に検査することも重要です。
関連する病気
胃がん
すい臓がん
肝臓がん
腹膜播種
参考文献
日本腹膜播種研究会腹膜播種とは
東京大学医学部附属病院胃癌・腹膜播種に対する腹腔内化学療法
東京大学学術機関リポジトリ癌性腹膜炎を伴う進行卵巣癌に対する新規治療戦略
札幌医科大学学術機関リポジトリ癌性腹膜炎の1例
癌性腹膜炎をきたしたG-CSF 産生肝細胞癌の 1 例
日消外会誌 35 巻原発巣不明の癌性腹膜炎にて発見された 腹膜原発漿液性乳頭状腺癌の 1 例
がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン
大腸癌における腹腔内洗浄細胞診の意義
胃癌における腹腔洗浄細胞診の精度向上の取り組み
緩和・支持療法IVR | 国立がん研究センター 中央病院
配信: Medical DOC