3、不倫の写真で離婚する方法
不倫の写真、およびその他にも必要な証拠がそろったことを前提として、離婚する方法を解説します。
離婚するためには、まずは協議離婚を目指し、話し合いがまとまらなければ離婚調停をし、それでも合意できなければ離婚裁判をするのが一般的です。
(1)まずは離婚協議
離婚する際には、
慰謝料
財産分与
親権
養育費
など、さまざまなことを取り決める必要があります。
離婚を切り出す前に、ご自身が希望する離婚条件を検討して決めておきましょう。
全面的に希望が通るケースは多くありませんので、どこまでなら譲歩してもよいのかも検討しておくことをおすすめします。
それから、夫婦間で離婚について話し合いをします。
適切な結論に行き着くためには、冷静に話し合いを重ねることが重要となります。
できる限り、お互いの精神状態が落ち着いているタイミングを見計らって離婚を切り出し、話し合いを進めましょう。
相手に言い分がある場合も冷静に話を聞き、譲歩できることは譲歩して折り合えば、スムーズに離婚できる可能性があります。
話し合いがまとまった場合は、約束を守ってもらうために離婚協議書を作成し、合意内容を証拠化しておきましょう。
公正証書にしておけば、万が一、相手が約束どおりに慰謝料や養育費などの金銭を支払わない場合にはすぐに差押え手続きが可能となります。
できる限り、公正証書で離婚協議書を作成することをおすすめします。
(2)話し合いがまとまらなければ離婚調停
夫婦間で話し合いがまとまらない場合や、そもそも話し合いができない場合には、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てます。
離婚事件では裁判をする前に調停をしなければならないことになっているので、合意できる見込みがないような場合でも、先に離婚調停を申し立てる必要があります。
調停では、家庭裁判所で選任された男女各1名の調停委員を介して相手と話し合いをします。
調停委員が専門家的な立場で助言や説得を交えて話し合いを進めるので、夫婦だけで話し合うよりも合意できる可能性が高まります。
ただし、調停委員を味方につけなければ、不利な調停案を提示される可能性もあります。
調停委員を味方につけるには、
不倫の事実
それによってご自身がどのような精神的苦痛を受けたのか
等を具体的に伝え、証拠も示して実情を把握してもらうことがポイントとなります。
調停で夫婦が合意すれば、調停離婚が成立します。
(3)それでも合意できなければ離婚裁判
離婚調停でも合意できなかった場合は、離婚裁判に進みます。
裁判では、双方が主張と証拠を提出し合います。自分の主張を裏付ける事実を証拠で的確に立証できた方が勝訴します。
したがって、不倫の離婚裁判で勝訴するためには、離婚条件も含めて適切な主張をし、相手の不倫を証明できる十分な証拠を提出することがポイントとなります。
裁判でも和解が成立するケースは多いですが、有利な和解案を引き出すためにも有力な証拠を提出しておくことが重要です。
離婚裁判で勝訴した場合は裁判離婚、離婚することで和解できた場合は和解離婚が成立します。
4、不倫の写真で慰謝料請求する方法
次に、不倫の写真等を証拠として慰謝料を請求する方法をみていきましょう。
不倫の慰謝料は離婚する・しないにかかわらず請求できます。
ここでは、配偶者に請求する場合と不倫相手に請求する場合に分けてご説明します。
(1)配偶者への慰謝料請求
配偶者と離婚する場合は、離婚請求と併せて慰謝料請求も行い、上記「3」で解説した手順に従って話し合い
調停
裁判
を進めていきます。
離婚しない場合は、話し合いで決着をつけるのが一般的です。
離婚せずに慰謝料請求の裁判のみをすることも可能ではありますが、そのようなケースは稀です。
ただ、離婚時に慰謝料を取り決めず、後で慰謝料のみを裁判で請求するケースは少なくありません。
その場合は、慰謝料請求権の消滅時効に注意が必要です。
時効期間は、損害および加害者を知ったときから3年です(民法第724条1項)。
したがって、不倫の事実を知ってから3年以上が経過すると、(元)配偶者に対して慰謝料を請求しても、相手が時効完成を主張すれば慰謝料はもらえなくなります。
ただし、不倫が原因で離婚したことによる「離婚慰謝料」は離婚してから3年が経過するまで請求可能です。
(2)不倫相手への慰謝料請求
不倫相手に謝料を請求する際は、まず内容証明郵便で請求書を送付するのが一般的です。
内容証明郵便という形を取ることによって相手に心理的な圧力をかけることができるので、話し合いを有利に進めやすくなることが期待できます。
時効期間内に慰謝料を求めたという証拠にもなります。
内容証明郵便を受け取った相手が連絡をしてきたら、話し合いをします。
その際は、冷静に話し合うことを心がけましょう。感情がエスカレートしてしまうと、
脅迫
恐喝
暴行・傷害
などのトラブルに発展するおそれもあるので注意が必要です。
相手の反応がない場合や、話し合ってもまとまらないときは、慰謝料請求の裁判を検討することになります。
なお、あなたが離婚せず不倫相手に慰謝料を請求するときには、「求償権」にご注意ください。
不倫相手とあなたの配偶者は「共同不法行為者」として、あなたに対して連帯して慰謝料の支払い義務を負います(民法第719条1項)。
しかし、どちらか一方が自己の負担部分を超えて慰謝料を支払った場合は、超えた部分について、もう一方に対して支払いを求めることができます(同法第442条1項)。
つまり、あなたが不倫相手から慰謝料全額を受け取った場合、不倫相手はあなたの配偶者に対して、その半分の支払いを求めることができるのです。
あなたが離婚しない場合、そのお金は家計から支払わなければならないことが多いでしょう。
その場合、実質的に手元に残る慰謝料は半額となってしまいます。
配信: LEGAL MALL