「胃腸炎のときに食べてはいけないもの」はご存知ですか?初期症状も解説!

「胃腸炎のときに食べてはいけないもの」はご存知ですか?初期症状も解説!

胃腸炎は、胃や腸に炎症が生じて腹痛・下痢・吐き気などの症状が現れる疾患の総称です。ウイルスや細菌が付着した食べ物から感染する感染性胃腸炎のほかにも、ストレスや生活習慣と関係性が深い過敏性腸炎など、さまざまな種類があります。

胃腸炎になると、吐き気や下痢など辛い症状を抱え、食べるもの飲むものが制限されるかもしれません。発熱で食欲がないこともあり、せっかく食べても吐いてしまうこともあるでしょう。

胃腸炎のときには、食べてはいけないものはあるのでしょうか。今回は、胃腸炎のときに注意したい食べ物や摂取したいおすすめの食べ物について解説します。

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監修医師:
前畑 忠輝(医師)

【経歴】
2001年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業。聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科に入局後、札幌医科大学第一内科にて消化器がんの発がんに関する遺伝子研究にて学位取得。専門は消化器内科、特に消化管がんの内視鏡診断と治療。最近まで慶應義塾大学医学部腫瘍センターに所属し、世界的名医の片腕として主に内視鏡診断および治療を行いながら、消化器がんに対する低侵襲療法の研究および医療機器の開発に取り組み、国内外で研究発表するだけでなく、招待講演や海外医師の実技指導、ライブデモンストレーションなどを行っていた。2020年4月より聖マリアンナ医科大学消化器内科教授として活動している。また、臨床研修センター副センター長として研修医採用の責任者も兼任している。
最近は、専門である内視鏡診断・治療技術の開発だけでなく、VRを用いた医療技術の開発、消化管内の創傷治癒に対する東京大学理工学部との共同研究、小児や成人の腸内細菌を用いた研究などを行なっている。

【資格】
消化器内視鏡専門医・指導医・学術評議員
消化器病専門医・指導医・支部評議員
消化管学会専門医・指導医・代議員

胃腸炎のときに食べてはいけないもの

胃腸炎のときに避けるべき食べ物はありますか?

刺激の強い食べ物や消化に悪いものは避けてください。繊維質が多い野菜や果物も消化が悪いので、胃腸炎のときは避けたほうがよいでしょう。具体的には、れんこん・ごぼう・ねぎ・パイナップル・たけのこ・きのこ・海藻類・こんにゃくなどです。また、脂質が多いものも胃腸の負担になるので、バラ肉・ナッツ類は食べないほうがよいでしょう。調理方法にも工夫が必要で、切り方が大きくかたい料理や大量の油を使う揚げ物・炒め物なども避けてください。

アルコールは胃腸炎にどう影響しますか?

アルコール飲料や炭酸飲料は、胃腸炎のときは刺激が強すぎるので避けてください。特に、アルコールは胃腸炎のときに限らず、ほぼすべての消化管に影響します。飲酒すると胃や腸からすぐに吸収され、血液によって全身に行き渡ります。そのため、胃腸に負担をかけて、下痢や吸収障害などの症状を引き起こしてしまうかもしれません。アルコールは適切な摂取が行なわれないと、胃食道逆流症・マロリーワイス症候群・急性胃粘膜病変(AGML)・門脈圧亢進性胃炎・痔核など深刻な疾患への原因ともなります。

辛い食べ物は胃腸炎にどう影響しますか?

香辛料とカフェインは、ともに消化器系に刺激を与える性質を持っています。これらの摂取により、胃腸の活動が活発化し、蠕動運動が促進されることで下痢を引き起こす可能性があります。香辛料は特に消化不良や腸内環境の変化を引き起こしやすく、一方カフェインは胃酸分泌を促進し、自律神経やホルモンバランスにも影響を与えます。これらの影響は個人の体質や耐性によって異なるため、自身の体調に合わせた適量摂取が重要です。過剰摂取を避け、消化器系への負担を軽減することで、下痢のリスクを低減できます。

胃腸炎のときに摂取したいおすすめの食べ物

胃腸炎のときに摂取したいおすすめの食べ物はありますか?

胃腸炎のときの食事は胃腸に負担をかけないことを大前提とした、消化吸収がよくて胃腸に優しいメニューにするのが鉄則です。胃腸に負担をかけないよう、できるだけ食物繊維を抑えて脂肪が少ない食品をやわらかく調理した料理が適しています。やわらかいものをゆっくりと咀嚼しながら食べてください。具体的には、おかゆ・卵粥・煮込みうどん・煮魚・白身魚の蒸し魚・鍋料理・つくねの煮物・鶏ささみのホイル焼・湯豆腐・卵豆腐・卵とじ・半熟卵・茶碗蒸し・ポタージュスープなどが向いています。ただし、冷ややっこなど冷たいものもお腹によくありません。子どもが好きなゼリー・プリンなどは常温に戻して食べさせましょう。また、酸味が強い柑橘系のフルーツは吐き気を助長します。りんごの擦りおろしやバナナ・桃なども食べやすいです。

胃腸炎におすすめの栄養素はありますか?

胃腸炎におすすめの栄養素は、以下のようなものがあります。

ビタミンC

ビタミンD

ビタミンA

マグネシウム

水溶性食物繊維

順に、解説します。まず、ビタミンCとビタミンDは、免疫力を高めるために必要不可欠な栄養素です。胃腸炎の症状に気付いたら、意識して摂取するとよいでしょう。また、回復期にビタミンAを摂取すると、下痢や嘔吐でダメージを受けた粘膜の修復に役立ちます。マグネシウムもエネルギー代謝を促進し、神経や免疫の機能を助けます。これらビタミンやミネラルは、下痢になると大幅に失われてしまうため、回復時には必ず補給してください。また、水溶性食物繊維には腸内環境を改善する働きがあります。オリゴ糖が豊富なハチミツと水溶性食物繊維であるペクチンを合わせて摂取することで、改善の相乗効果が期待できるでしょう。

胃腸炎のときに摂取したいおすすめの飲み物はありますか?

胃腸炎のときは、水分の補給と脱水の予防に経口補水液がおすすめです。スポーツドリンクよりも塩分濃度が高く、水分・塩分・糖分のバランスがよいので、症状がひどいときは経口補水液を摂るようにしましょう。急性下痢症で脱水症状があるときは、電解質で体液の補充と調整をしてください。経口補水液の備蓄がなく、近くにドラッグストアがない場合は、家庭でも簡易的に作れます。コップ一杯の経口補水液の目安として、食塩0.6gと砂糖8gを200mlの水にしっかり溶かします。常温で作り、何度か小分けに飲むよう気をつけてください。経口摂取が難しいときは、医療機関で生理食塩水の点滴を受けてもよいでしょう。

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