3、クレジットカードの支払いを放置するとどうなる?|カード破産の選択肢
債権者から破産を申し立てられることがないのなら、ずっと支払いをしないでいても問題はないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、まったく財産がない人の場合には、支払いを拒否し続けることによってやがて時効で借金が消滅するということもあります。
しかし、クレジットカードの支払いを放置することはおすすめできません。なぜなら、支払いをしないでいる限り、債権者からの厳しい督促が続くからです。
それに、一定の期間支払いをしないでいると、強制執行手続きによって財産を差し押さえられてしまうこともあります。
差し押さえられる財産としては給料や預金が主ですが、不動産をお持ちの場合はその不動産を差し押さえられて、競売にかけられることもあります。
給料しか財産がない場合には、クレジットカード代金と金利・手数料、遅延損害金を完済するまで給料の差押えが続くことになります。
自己破産をすれば、不動産などの高価な財産は失ってしまいますが、給料の差押えは避けることができます。他の債務整理が可能な場合には、不動産や預金などの財産を守ることができる可能性もあります。
そのため、クレジットカード代金を支払えなくなっても、放置せずに自己破産または他の債務整理を検討することが大切です。
4、自己破産のデメリット
破産(自己破産)をすれば多額の借金をゼロにできるとはいえ、副作用もあります。
そこで次に、自己破産をする前に知っておくべきデメリットとマイナス特徴についてご説明します。
(1)自己破産のデメリット
自己破産には、借金をゼロにしてもらう代わりに以下のデメリットがあります。
①破産後の一定期間クレジットカードの利用ができない
まず、自己破産をすると、その後の10年ほどはクレジットカードの利用が難しくなります。なぜなら、自己破産をするとブラックリストに載せられるからです。
ブラックリストとは、信用情報機関に事故情報が登録された状態のことをいいます。クレジットカード会社は必ず利用者や申込者の個人信用情報を確認するので、事故情報が登録されているとクレジットカードを利用することも新たに作成することも難しくなるのです。
もっとも、自己破産をしなくてもクレジットカード代金を支払わないでいると、それも事故情報として登録されます。
そのため、支払えないのであれば早期に自己破産をした方が、再びクレジットカードを利用できるようになるまでの期間は短くなります。
②一定財産の処分
自己破産をすると、一定の財産は処分する必要があります。マイホームなど高価な財産を手元に残すことはできません。
ただ、生活に必要な財産まで処分する必要はありませんので、自己破産をすることで生活できなくなるということはありません。
具体的には、以下の財産は手元に残すことが可能です。
99万円以下の現金
その他、一点あたり評価額20万円以下の財産(東京地裁などの場合)
これだけの財産が手元に残りますので、自己破産をする前とほとんど変わらない生活ができる場合も多いです。
③その他
その他にも、注意すべき自己破産のデメリットとして以下のものがあります。
借入れやローンの利用が難しくなる
官報に氏名や住所が掲載される
手続きに手間がかかる
弁護士に依頼すると費用がかかる
手続き中は一部の資格や職業が制限される
保証人に迷惑がかかることがある
これらのデメリットの詳細は以下の記事で解説していますので、ご参照ください。
(2)カード破産のマイナス特徴
次に、自己破産のデメリットというわけではありませんが、カード破産で注意すべき点についてご説明します。
実は、カード破産は必ずしもうまくいくとは限りません。
借金をゼロにしてもらうには裁判所で免責が許可される必要がありますが、カード破産では免責が許可されない可能性もそれなりにあるのです。
免責が許可されない事情(免責不許可事由)は破産法第252条に定められていますが、カード破産の場合は次の2点が問題となることが多いです。
二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
引用元:破産法第252条
四 浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
引用元:破産法第252条
例えば、以下のような場合に免責不許可事由に該当する可能性があります。
「信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分」に該当し得るケース
クレジットカードで商品を購入し、それを転売して現金を入手した場合
「浪費」に該当し得るケース
高価な商品を購入した場合や、外食・旅行・趣味などの遊びのためにキャッシングをした場合、エステなどの料金をクレジットカードで決済した場合
「賭と博その他の射幸行為」に該当し得るケース
キャッシングをしたお金でパチンコ屋競馬などのギャンブルをしたり、株式取引やFXなどの投資をした場合
免責不許可事由があると、自己破産をしても原則として借金はそのまま残ってしまいます。そのため、他の債務整理を検討する必要があります。
配信: LEGAL MALL