5、カード破産(自己破産)の前に検討したい借金脱出方法
破産(自己破産)で免責が見込まれるとしても、自己破産は最後の手段と考えておくべきです。実際にも、できる限り自己破産は避けたいと考える方も多いでしょう。
そこで、ここでは自己破産をする前に考えられる借金からの脱出方法をご紹介します。
(1)購入品の売却
破産を検討するほどカードを使った方の中には、高額な物品を購入した方も多いと考えられます。
その場合は、購入品を売却し、その代金を返済に充てることができます。
不要な物品はどんどん売却すべきですし、生活に必要な物品でも高価なものは売却して安価なものへの買い換えを検討してみましょう。
ただし、購入金額を完済していない物品は売却してはいけません。また、使用による劣化が激しい物品の場合や、外食・旅行・エステなど物として残らない使途の場合にはこの方法は使えません。
(2)親族からの借金
頼れる親族がいる場合は、返済金を借りてクレジットカードの支払いに充てることも考えられます。
親族から借りることができれば、消費者金融や他の金融機関から借りる場合よりも金利や支払期日について融通が利くでしょうから、返済が楽になるはずです。
ただし、親族とうまくいっていない場合には協力を得ることは難しいでしょうし、親族に甘えてお金を返さないかもしれないと思う方の場合もおすすめはできません。
(3)任意整理
債務整理をするとしても、自己破産よりもデメリットの少ない方法があります。
任意整理とは、裁判所を介さずに債権者と個別に話し合うことによって返済額や返済方法を変更する債務整理の方法です。
自己破産と異なり、財産を処分する必要はありませんし、手軽に行えるというメリットがあります。
しかし、基本的に元金のカットはできないため、大幅には借金が減らないというデメリットがあることに注意が必要です。
多額の借金を抱えている場合には、任意整理では借金から脱出できない可能性があります。
生活に支障をきたさないためには、一般的に月の返済額は月収の3割までにしておいた方が良いといわれています。それを超える場合は、自己破産または次にご紹介する個人再生を検討した方が良いでしょう。
(4)個人再生
個人再生とは、裁判所に申し立てることによって借金を大幅に減額してもらえる債務整理の方法です。借金総額が原則として5分の1(最大10分の1。ただし、最低弁済額は100万円)にまで減額され、減額後の借金を3年~5年で分割返済していきます。
個人再生の場合も基本的に財産を処分する必要はありませんし、条件を満たせば「住宅資金特別条項」を使うことによってマイホームを残すことも可能です。
ただ、借金が減額されるとはいえ返済していかなければならないので、安定した継続的収入があることが条件となります。
とはいえ、もともとクレジットカードの限度額が高い、または多くのクレジットカードを保有していた方であれば、収入条件を満たす可能性は高いと考えられます。
6、クレジットカードの支払いが苦しいなら弁護士へ相談を|カード破産を選択する前に
クレジットカードの支払いに首が回らなくなっても、カード破産または前項でご紹介した方法で解決できますので、放置することは避けましょう。
ただ、実際に切羽詰まった状況に陥ると、どうすればよいのかわからなくなるかもしれません。
そんなときは、お気軽に弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士に相談・依頼すれば以下のようなメリットが得られます。
(1)弁護士が受任すれば一旦返済しなくてOK
弁護士が債務整理を受任すると、まず弁護士から債権者宛に受任通知書を送付します。
債権者は、弁護士からの受任通知書を受け取った後は債務者に対して直接返済を請求することが禁止されています(貸金業法第21条1項9号)。そのため、弁護士に債務整理を依頼すれば、すぐに債権者からの取立がストップし、一旦返済しなくてよくなります。
その後に落ち着いて弁護士と一緒に解決方法を考えることもできます。
(2)無理のない最適な立て直し方法を提案
借金から脱出するためにカード破産をするのが良いのか、それとも他の手段を検討した方が良いのかは、状況によって異なります。
あなたにとって無理のない、最適な立て直し方法を選択することが、借金から完全に脱出するための最も重要なポイントです。
債務整理に詳しい弁護士に相談すれば、豊富な専門知識と経験に基づいて、最適な解決方法を提案してもらえます。その他にも収支を把握する方法など、今後の生活において二度とカード破産に陥らないためのポイントについてもアドバイスしてもらえます。
(3)破産を選択しても裁量免責を目指せる
免責不許可事由がある場合にはカード破産はうまくいかない可能性があることを前記「3(2)」でご説明しました。
しかし、実は免責不許可事由がある場合でも、「裁量免責」が得られる場合があります。
裁量免責とは、免責不許可事由がある場合でもその程度が軽い、借金をした経緯に同情できる事情がある、反省して生活を再建する意欲が高いなど、免責を許可するのが相当であると認められる場合に裁判所の裁量で免責を許可することをいいます。
裁量免責も免責には変わりありませんので、許可されると借金がゼロになります。
ただし、どのような場合に裁量免責が認められるのかや、裁量免責を得るためにどうすればよいのかについては、一般の方にはよくわからないのが実情でしょう。
その点、債務整理に詳しい弁護士は裁判所の対応にも精通していますので、裁量免責を得るコツも把握しています。
したがって、自分で破産手続きを行うよりも、弁護士に依頼した方が裁量免責が得られる可能性が高くなります。
(4)弁護士費用への過度な不安はいらない
もっとも、弁護士に依頼する場合には費用が気になることでしょう。
しかし、弁護士費用を気にしすぎる必要はありません。インターネットで検索すれば、良心的な料金で充実したリーガルサービスを提供している法律事務所がたくさん見つかります。
相談料無料や、着手金の分割払いに応じている事務所も多いので、初期費用が準備できなくても弁護士に依頼することは可能です。
まずは料金の安い法律事務所を探してみて、気になる事務所があれば無料相談を利用し、比較した上であなたと相性の合う弁護士に依頼することをおすすめします。
配信: LEGAL MALL