膵臓がんの治療
膵臓がんの治療は、がんの進行程度や体の状態など患者さん1人ひとりに合わせて、治療法を選択します。膵臓がんの治療法には以下の方法があります。
手術
薬物療法
放射線治療
緩和ケア
膵臓がんでは手術が可能かどうかを調べます。手術が可能であれば、手術のみもしくは手術と薬物療法を組み合わせて行うことが少なくありません。
手術ができない場合は、薬物療法や放射線治療を行います。また、必要に応じて緩和ケアも行います。それぞれの治療法を詳しく以下で確認しておきましょう。
手術
手術は膵臓がんを完治させるのが期待できる治療法です。膵頭十二指腸切除術・膵体尾部切除術・膵全摘術があります。膵頭十二指腸切除術は、膵頭部中心にがんがある場合に十二指腸、胆管、胆のうを含めて膵頭部を切除する手術です。切除後は、膵液が小腸に流れるように残った膵臓と小腸をつなぎ合わせます。膵体尾部切除術は、体の左側に位置する膵体尾部にがんがある場合に行う手術です。膵体尾部だけではなく、隣接している脾臓も一緒に切除します。また、膵全摘術はがんが膵臓全体に広がっている場合に行う手術です。膵臓がなくなるため、インスリンなどのホルモンや消化酵素が分泌されなくなり糖尿病や消化吸収障害などが起こります。そのため、インスリンや消化剤を服用する必要があります。
薬物療法
膵臓がんの薬物療法では、主に細胞障害性抗がん薬を使用します。細胞障害性抗がん薬とは、細胞が増殖する仕組みを抑制してがん細胞を攻撃する薬です。がん細胞だけではなく正常の細胞も攻撃してしまうため、吐き気や脱毛などの副作用が生じます。また、状態によってはたんぱく質を標的としてがんを攻撃する分子標的薬、免疫ががんを攻撃する力を保つ免疫チェックポイント阻害薬を使用する場合があります。それぞれの薬によって副作用があるため、治療する前に担当医師に確認しましょう。
放射線治療
放射線治療とは、がんの部分に放射線を当てて治療する方法です。膵臓がんの放射線治療には、薬物療法を組み合わせて行う化学放射線療法、手術ができず転移がある場合に痛みを和らげるのに行う治療があります。薬物療法と同じく副作用があるため注意が必要です。副作用の症状や程度は個人差がありますが、一般的に吐き気や食欲不振などが挙げられます。
緩和ケア
膵臓がんの治療では緩和ケアも欠かせません。膵臓がんをはじめ、がんになると、将来の不安や治療の辛さなどメンタルにも影響を及ぼします。このような精神的な辛さや副作用を緩和させるために行う治療が緩和ケアです。具体的には痛みがある場合は鎮痛薬を服用する、がんによって消化管が狭くなった場合はステントと呼ばれる器具を入れて通りやすくするなどを行います。緩和ケアは病院だけではなく自宅でも受けることが可能です。がんになったことによる辛さは個人差があります。1人で抱え込まずに担当医師などに相談しましょう。
膵臓がんになりやすい人・予防の方法
膵臓がんになりやすいのは、家族で膵臓がんになった人がいることや、糖尿病や慢性膵炎を発症していることがリスク要因として挙げられます。
また、喫煙や飲酒なども膵臓がんのリスクを高めるといわれています。そのため、普段から喫煙している方や飲酒習慣がある方は膵臓がんになりやすいでしょう。
膵臓がんだけではなくがん全般にいえることですが、予防するためにはバランスのよい食事・禁煙・節度ある飲酒などが大切です。特に喫煙している男性は禁煙が効果的とされます。
また、定期的な検診を受けることで早期発見につながります。少しでも気になる症状があれば医療機関を受診しましょう。
参考文献
膵臓がんについて|国立研究開発法人国立がん研究センター
膵臓がん|公益財団法人がん研究会 有明病院
膵がん|東京科学大学病院肝胆膵外科
膵(すい)がん|国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院
膵臓がん検査|国立研究開発法人国立がん研究センター
膵臓がん予防・検診|国立研究開発法人国立がん研究センター
配信: Medical DOC
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