外傷性くも膜下出血の前兆や初期症状について
外傷性くも膜下出血は、出血が少なければほとんど症状がないことがあります。
一方で、頭部に外力が加わった直後から症状が現れることもあります。しかし、症状の現れ方は個々によって異なります。
激しい頭痛
外傷性くも膜下出血の症状として、激しい頭痛が発生する場面が多くみられます。原因としてはいくつか考えられています。代表的なものは、出血した血液が髄膜を刺激して生じる頭痛や出血したことで脳のまわりの圧が上昇することで起こる頭痛が考えられています。この頭痛は、頭を打った直後に起こるだけでなく、数日〜数ヶ月経ってから起こることもあるため、直後に何も症状がなくても十分注意しましょう。
吐き気や嘔吐
吐き気や嘔吐も、外傷直後、または数日〜数ヶ月後に現れることもあります。外傷後に突然の吐き気を感じた際には、脳へのダメージが加わった可能性があります。早急に病院を受診しましょう。
意識障害
外傷性くも膜下出血を発症したときの出血量や併発した急性硬膜下血腫や脳挫傷などの外傷によっては、意識障害を呈します。出血の量が多い場合は、数日〜10数日後に脳の血管が収縮することがあります。脳血管攣縮といわれ、高度に生じると意識障害の原因になりえます。
運動麻痺や言語障害
外傷性くも膜下出血だけであれば、運動麻痺や言語障害などが生じることは少なく、頭痛が主症状となります。ただし、急性硬膜下血腫や脳挫傷などのように脳の損傷を伴っているときは、運動麻痺や言語障害が生じることがあります。
頭部に衝撃を受けたあとにこれらの症状が現れた場合は、脳神経外科を受診しましょう。
また、頭部外傷を受けた直後に症状が出現した場合は、一刻も早い対応が必要なこともあります。救急外来を受診して、緊急対応が必要か判断を仰ぎましょう。
外傷性くも膜下出血の検査・診断
外傷性くも膜下出血は、主に以下のような評価や検査を行い診断します。
問診と神経学的評価
頭部外傷を受けた状況を確認します。さらに、診察を行い、頭痛や吐き気などの典型的な症状から意識障害などの非典型的な症状まで確認します。頭痛・吐き気・運動麻痺などがある場合は、いつから症状が出現したのかを確認し、脳にダメージがある可能性を評価します。
画像診断
外傷性くも膜下出血は、以下のような画像検査を行った結果をもとに診断します。CTスキャン(コンピューター断層撮影):外傷性くも膜下出血と診断するために、最も迅速に行える効果的な検査です。X線を用いて脳の輪切り画像を撮影することで、出血の有無や、出血場所・出血量などを確認できます。ほとんどの外傷性くも膜下出血はこのCTスキャンで診断できます。
CTスキャンは、外傷直後に行われることが多く、最初の選択肢として使用されます。
MRI(磁気共鳴画像法)
MRIは、CTスキャンと比較して、より詳細に脳や周囲の構造を確認できる検査です。そのため、精密検査に該当すると考えて差し支えありません。基本的にCTスキャンでも評価して診断できますが、出血がごく少量の場合や発症してから時間がたっている場合にはCTだけでは見逃される可能性があります。CTスキャンで異常を認めない場合は、MRIが追加されることがあります。
配信: Medical DOC