外傷性くも膜下出血の治療
外傷性くも膜下出血は、重症度によって治療方法は異なります。軽症であれば、多くの場合、自然に止血・吸収されます。定期的にCTスキャンやMRIなどの画像検査を行って、脳内での異常な変化が生じていないかなどは確認します。基本的に手術は不要で、経過を追うのみで改善します。
しかし、急性硬膜下血腫や脳挫傷などを合併した場合は状況が異なります。脳の損傷が強いときや、脳の腫れがひどく、脳のまわりの圧が高くなっているときは、頭蓋内圧を減らすために減圧開頭術を行う場合があります。
外傷性くも膜下出血や合併した急性硬膜下血腫や脳挫傷はけいれんの原因となることがあります。実際にけいれんした場合やけいれんを起こす可能性が非常に高い場合はけいれんを予防する薬(抗てんかん薬)を使います。
外傷性くも膜下出血になりやすい人・予防の方法
外傷性くも膜下出血は以下の条件に該当する場合に発症の可能性が高くなるため注意が必要です。
高齢者
加齢によって身体機能や、バランス能力などが低下しているため、転倒しやすく、頭部への外傷リスクが高くなります。さらに血管がもろくなっていることもあり、外傷性くも膜下出血が発症しやすいといえます。自宅であれば、段差を減らしたり、手すりをつけたりすることで転倒のリスクをへらすことができます。
スポーツを積極的に行っている人
ラグビー・アメリカンフットボール・ボクシングなど、激しい接触や衝撃を伴うスポーツは、頭部に衝撃を受けやすいため、外傷性くも膜下出血のリスクが高くなります。防ぎようのない予期せぬ外傷もありますが、しっかりとヘルメットなどの装備をきちんと装着しましょう。
自転車やバイクなどをよく利用する人
自転車・バイクなどをよく利用する人は、交通事故に遭ったときに、体がむき出しのため、強い外傷を受けやすいといえます。そのため、外傷性くも膜下出血を発症しやすいといえます。適切なヘルメットなどの着用は最低限徹底しましょう。最近では、二輪車用の頭部や全身のエアバッグも販売されています。使用を検討してもよいでしょう。
職業的に危険な環境にいる人
建設現場や工場など、高所を含む危険な環境で作業する際には、自らの転落はもちろんのことや物の落下にも注意が必要です。頭部に外傷を受ける危険性が高いため、ヘルメットなどの着用は徹底しましょう。特に、高所での作業ではハーネスなどの落下防止装備も必須です。きちんと装備を整え、安全な作業を心がけましょう。
このような対策を実施し、頭部への強い衝撃を避けることが重要です。
参考文献
脳神経外科疾患情報ページ「外傷性くも膜下出血」
日本神経治療学会「Ⅳ.クモ膜下出血」
MSDマニュアル「くも膜下出血(SAH) – 脳卒中」
配信: Medical DOC
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