心筋梗塞は多くの場合、動脈硬化が進行することによって引き起こされます。動脈硬化を予防するためには、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病の管理が重要です。特に、食事の見直しが効果的で、青魚に含まれる不飽和脂肪酸や、食物繊維を豊富に摂ることが推奨されます。今回は、動脈硬化や心筋梗塞を予防するために役立つ栄養素とその摂取方法を「KENカルディオクリニック柏」の中村先生にご紹介いただきました。
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監修医師:
中村 賢(KENカルディオクリニック柏)
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。その後、東京慈恵会医科大学附属病院、明理会中央総合病院、埼玉県立小児医療センター、埼玉県立循環器・呼吸器病センターなどで心臓外科医として経験を積む。2023年、千葉県柏市に「KENカルディオクリニック柏」を開院。医学博士。日本外科学会専門医・指導医、日本循環器学会専門医、心臓血管外科専門医認定機構修練指導医。
編集部
心筋梗塞の原因はなんですか?
中村先生
多くの場合、柔軟な血管が弾力性を失って硬くなる「動脈硬化」が原因で心筋梗塞が起こります。動脈硬化が進むと、血管の壁が厚くなって血液の通り道が細くなります。そこへコレステロールなどが沈着すると、お粥のようにドロドロとした病変が形成されます。「粥腫(じゅくしゅ)」または「アテローム」と言い、これによって血管が塞がれてしまうのです。
編集部
その粥腫が心筋梗塞の原因になるのですか?
中村先生
このような状態の動脈硬化を「アテローム性動脈硬化」と呼び、アテロームが時間の経過とともに隆起したものを「プラーク」と言います。アテローム性動脈硬化のプラークが破れて破綻すると、そこに血小板が集まり血栓が作られることがあります。この血栓が冠動脈で詰まることで、心筋梗塞が引き起こされるのです。
編集部
なぜ、動脈硬化が起きるのですか?
中村先生
動脈硬化が起きる最大の要因は、「生活習慣病」です。高血圧の状態が続くと血管は血液を強い力で押し出そうとして壁が厚くなります。つまり、血管にとって高血圧は多大なストレスになるのです。それから、脂質を摂りすぎるとコレステロールが血管の内壁に溜まり、動脈硬化が進行します。
編集部
そのほか、動脈硬化を引き起こす要因は?
中村先生
喫煙、運動不足、肥満、高塩分食なども動脈硬化につながります。また、加齢やストレスも動脈硬化を引き起こすとされています。
編集部
動脈硬化や心筋梗塞を予防するのに適している食べ物はなんですか?
中村先生
お魚に含まれる「不飽和脂肪酸」の摂取がおすすめです。特に、いわし・さば・さんまなどの青魚に含まれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」は、血液を固まりにくくして動脈硬化を予防する働きがあるとされています。
編集部
ほかにはどんな食べ物がおすすめですか?
中村先生
「食物繊維」も積極的に摂りましょう。食物繊維は動脈硬化の予防になるほか、ナトリウムや脂質を吸着して排出する働きがあるので、脂質異常症や高血圧などの改善にもつながります。
編集部
ある程度、食事で予防することもできるのですね。
中村先生
そうですね。基本的には塩分が高くない食事を心がけましょう。また、糖質・脂質・タンパク質のバランスがとれた食事を摂ることも大事です。
※この記事はMedical DOCにて【「心筋梗塞」の初期症状と予防・対策を医師が解説! 生活習慣の見直しで心筋梗塞を防止しよう】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC