詐欺罪で逮捕されたら初犯でも実刑に?不起訴や執行猶予を獲得する方法

詐欺罪で逮捕されたら初犯でも実刑に?不起訴や執行猶予を獲得する方法

3、詐欺罪で訴えられたときに懲役の実刑を回避できる方法

では、詐欺罪で懲役の実刑を回避できるのはどういった場合なのでしょうか?

(1)不起訴処分を獲得する

まずは、不起訴処分の獲得を目指すことが考えられます。

不起訴処分になれば刑事裁判にかけられず、刑罰が科される可能性はありません。前科もつかないため、被疑者にとっては理想的な結果といえます。

(2)無罪判決を獲得する

特殊詐欺の「受け子」や「出し子」などが具体的な欺罔行為の内容については知らされておらず、「詐欺に加担しているとは思わなかった。」として刑事裁判で無罪を主張するケースがあります。しかし、刑事裁判で無罪判決を受けるのは極めて難しいです。

2020年のデータでは、詐欺罪での有罪率は99%以上です。詐欺であるとはっきり気がついていなくても、「何らかの犯罪に関与しているかもしれない。」という認識があれば、詐欺罪として処罰される可能性が高いといえます。

無罪になれば刑罰は回避できますが、実際に刑事裁判で無罪判決を獲得できる可能性は非常に低いことを知っておく必要があります。

(3)執行猶予付き判決を獲得する

被告人にとって全く身に覚えがない限り、起訴されて刑事裁判にかけられた場合には、執行猶予付き判決の獲得を目指すことが最も現実的な対応策といえます。

例えば、「懲役3年、執行猶予5年」の場合、執行猶予期間の5年間に他の犯罪を犯すことなく過ごせば、懲役3年の刑は効力を失うことになり、結果として刑務所に収容されずにすみます。

執行猶予は、言い渡される懲役刑が3年以下のときにしか付けられません。懲役3年を超えるケースでは必ず実刑判決となります。

執行猶予付き判決では前科はついてしまうものの、刑務所に収容されず、従前と同様の社会生活を送ることができますから、実刑判決との違いは非常に大きいです。起訴されても執行猶予付き判決の獲得を目指すべきです。

4、詐欺罪は初犯でも懲役の実刑に?処分が重くなるケースとは

詐欺罪の場合には、初犯であっても懲役の実刑判決がくだされるケースが多いのも事実です。特に以下のケースでは実刑判決の可能性が高くなることを念頭に置く必要があります。

(1)犯行の悪質性が高い

犯行が悪質だと実刑の可能性が高まります。

組織的に行われ手口が巧妙な特殊詐欺では、犯行の悪質性が高いと判断されやすいです。

(2)被害金額が大きい

詐欺による被害金額が大きい場合には、処分が重くなりやすいです。

特殊詐欺では被害金額が数百万、場合によっては数千万円に及ぶこともあり、処分が重くなる傾向にあります。

(3)余罪が多い

多くの余罪が判明した場合にも、処分が重くなる可能性があります。

余罪とは、捜査がなされている犯罪(本罪)とは別に、同一の被疑者が犯したと考えられた犯罪事実のことです。例えば、ある被害者に対する特殊詐欺で逮捕され、別の特殊詐欺にも関与していたと判明するケースが考えられます。

余罪について起訴された場合には、本罪と併せて判断されるため、刑罰が重くなりやすいです。

(4)特殊詐欺に関わった場合

ここまで触れてきたように、オレオレ詐欺、還付金詐欺等の特殊詐欺では、実刑判決を受ける可能性が高いです。

特殊詐欺は組織的に行われ手口が巧妙なため、悪質性が高いです。また、金銭的に余裕のある高齢者を狙う等しており、一人あたりの被害金額が大きい傾向にあります。

一度特殊詐欺グループと関わりを持ってしまうと、翻意して離脱しようとしても、身辺に危害を加える等の脅しをグループの構成員から受け、結果として多数の特殊詐欺に関与してしまい、余罪が多くなるケースもあります。

特殊詐欺の場合、初犯であっても実刑判決を覚悟する必要があります。

関連記事: