3、ランキングでは1位だが…実は「性格の不一致」は離婚原因にならない?
男女ともに離婚理由の1位は性格の不一致ですが、実は性格の不一致を理由に調停や裁判で離婚をするのは簡単なことではありません。
協議離婚であれば離婚原因は問われませんが、裁判になれば裁判所に認められる離婚原因が必要になります。
以下で、性格の不一致が裁判上の離婚原因として認められない理由や、それでも性格の不一致で離婚する方法についてみていきましょう。
(1)性格の不一致だけでは法定離婚事由にあたらない
裁判で離婚する場合、法律で定められている「法定離婚事由」が必要になります。
法定離婚事由は、不貞や悪意の遺棄、3年以上の生死不明、回復し難い精神病、その他婚姻関係を継続し難い重大な事由の5種類です。
この中に性格の不一致は入っていません。
そのため、性格の不一致だけでは原則として裁判で離婚することはできません。
(2)相手の同意があれば離婚できる
夫婦がお互いに合意すれば離婚原因は問われないので、離婚協議や離婚調停では性格の不一致だけが理由でも離婚できる可能性があります。
そのため、性格の不一致以外に理由がない場合は協議や調停で粘り強く交渉し、離婚を目指すことになります。
(3)裁判離婚では他の離婚原因が必要
裁判で離婚する場合には、性格の不一致だけではなく他の離婚原因も必要です。
司法統計で性格の不一致が男女ともに第1位になっていますが、これは離婚が成立した事件だけではないことや、申立書には複数の離婚原因を挙げられることが関係しています。
裁判離婚では多くの場合、性格の不一致の他にも離婚原因があることが多く、その離婚原因によって離婚が認められていると考えられるのです。
裁判で離婚するためには、他の離婚原因があるか、性格の不一致が原因で夫婦関係が破綻し、長期間の別居が続いているなど、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」が生じている必要があります。
なお、現時点では法定離婚事由が認められない場合には、別居を継続することにより時間をかけて、「その他婚姻関係を継続し難い重大な事由」を主張するという方法もあります。
4、離婚を迷われている方へ~離婚した方がよい夫婦の特徴とは?
もし離婚を決めたランキングの上位の事由であなたが苦しんでいるとしても、必ずしも離婚すべきだというわけではありません。
離婚はあくまでも最終手段です。
離婚した方が良い夫婦の特徴を知り、自分達夫婦の状況と比較してみてください。
(1)愛情が残っていない
相手に愛情が残っていないのであれば、このまま夫婦生活を続けていくほど互いに辛くなってしまうでしょう。
愛情がなくなれば相手に関心を持つことができなくなり、コミュニケーションも減ってしまいます。
相手にも愛情がないことは伝わりますし、自分自身も愛情のない相手と生活することは苦しくなってしまうと考えられます。
(2)相手の有責行為が改善される見込みが薄い
相手が離婚原因を作った場合、その原因が改善されなければ結婚生活を続けることは難しいでしょう。
例えば相手が不倫をしていた場合、たとえ「もう不倫はしない」と言ったとしても口先だけで、相手が改善しようとする努力をしているように見えなければ、再び同じことが起こり得るでしょう。
そして、いつ相手が有責行為を起こすのかと疑心暗鬼になってしまい、信頼することができなくなってしまいます。
(3)どちらかの心身に不調が生じている
夫婦のどちらかに心身の不調が生じているのであれば、無理に結婚生活を続けると悪化してしまう恐れがあります。
悪化すれば不眠や抑うつなどの症状に悩まされるようになり、回復までに時間がかかってしまいます。
自分自身が心身に不調があると感じているのであれば、我慢せずに離婚または別居を切り出すとともに、専門の医療機関やカウンセラーに相談してみることをおすすめします。
(4)子どもに悪影響が及んでいる
子どもがいる夫婦の場合、子どものことを優先して考えるべきでしょう。
離婚原因が子どもに何らかの悪影響を与えているのであれば、離婚することで子どもの心の安定を取り戻せる可能性があります。
離婚が子どもに悪影響を与えることもありますが、結婚生活を継続していても子どもに悪影響を与えているのであれば、環境を変えるべきだといえます。
配信: LEGAL MALL