「決められた時まで生きられる」余命宣告された母の強さ。残された日々に込められた想いとは【体験談】

「決められた時まで生きられる」余命宣告された母の強さ。残された日々に込められた想いとは【体験談】

母は2年前、白血病と診断されました。実は10年前にも同じ病魔と闘い、一度は克服したはずでした。その年の初めに別の疾患で入院し、定期検査を受けた際に白血病の再発が判明したのです。

余命宣告を受けた母

医師からは「すでに完治は難しい。余命も限られている」と告げられました。骨髄移植という選択肢もありましたが、70代の母には負担が大きすぎると判断され、抗がん剤治療を選択することになりました。

入退院を繰り返し、輸血を受け、日に日に痩せ細り、食欲も失っていく母の姿を見るのは、本当につらい日々でした。それでも母は驚くほど気丈で、余命を宣告されても「災害や事故で亡くなる人もいる。私は決められた時まで生きられるんだ」と前向きに受け止めていました。

突然の別れ

2023年の秋、母の容態は悪化し、入院か在宅医療かを選択しなければなりませんでした。母は迷わず在宅医療を選びました。残された時間を病院のベッドの上で、窓も開けられず、自由に動くこともできず、面会も制限された中で過ごすのは嫌だったのでしょう。

母にとって歌うことは生きがいでした。亡くなる4日前、微熱があるにも関わらず、合唱祭に出演したのです。「どうしても行きたい」という母の強い意志を感じました。

その翌日、母は1日中ベッドで過ごしていました。疲れが出たのだろうと思っていましたが、その2日後の朝、寝室で倒れている母を発見しました。すぐに訪問医療の先生を呼びましたが、すでに意識はなく、救急車で病院に運ばれた後、夜中に息を引き取りました。最期のお別れを言うことさえかないませんでした。

関連記事: