ユーハイムが手がける“ゆーパイむ”のおやつ/ゆーパイむの「Uパイ」

ユーハイムが手がける“ゆーパイむ”のおやつ/ゆーパイむの「Uパイ」

文筆家・甲斐みのりさんが特別な日にいただきたいおやつをピックアップ。今回は「ゆーパイむ」で購入できる「Uパイ」をご紹介します。

幸運のシンボルをかたどった、大きなパイ

JR東京駅を利用する際、おみやげものを探すため、構内のエキナカ商業施設「グランスタ東京」をよくうろうろとするのですが、2024年4月にオープンした店舗の前を通りかかって、「え!?」と立ち止まりました。看板には「ゆーパイむ」の文字。バウムクーヘンで有名な「ユーハイム」が、“ユーハイム”と“パイ”をかけたダジャレのような名のパイ専門の新ブランド店舗を立ち上げていたのです。

ユーハイムの歴史は、1909年までさかのぼります。ユーハイムの創業者であるドイツ人のカール・ユーハイムは、当時ドイツの租借地だった中国の青島で菓子店を営業していました。そんな中、第一次世界大戦の勃発で捕虜として日本に連行されることになります。

そうして1919年に、広島の収容所にいたカールは、物産陳列館(現在の原爆ドーム)で開催された展示販売会で、菓子作りの技術を活かして、日本で初めてのバウムクーヘンを販売し評判となりました。

戦後、カールは妻のエリーゼや子どもたちを日本に呼び寄せ、横浜で妻・エリーゼの頭文字を掲げた店「E・ユーハイム」をオープンします。ドイツの菓子や軽食を扱う店は人気店となりましたが、関東大震災の被害により、避難船に乗って横浜から神戸への移住を余儀なくされます。

神戸で途方に暮れていたとき、ロシアの舞踏家夫人の力添えがあって、丁寧な手仕事を大切に菓子を作る店「Juchheim‘s」を開業しました。けれども日本は第二次世界大戦に突入し、カールは終戦前日の1945年8月14日にこの世を去ります。終戦後、あるじを亡くした一家はドイツへ強制送還されましたが、カールの弟子たちが店を再開しようと集結し、エリーゼを日本へと呼び寄せました。

その後、社員たちはカールやエリーゼの菓子作りへの思いを受け継いで、食品添加物を使わずに、自然の原料だけで菓子作りを続けています。

そんなユーハイムのパイ専門店では、もちろん純正な素材を使うことにこだわっています。たっぷりと国産バターを使って焼き上げるパイは軽やでサックサク。噛むほどにバターのコクと香りを感じられます。

店の看板商品は、100年前の創業時から販売していたミートパイを神戸牛を使ってアレンジした「神戸牛のミートパイ」。ミンチした牛肉に刻んだ玉ねぎやゆで卵と合わせているので、軽食としても食べ応えがあります。他にも、店内工房で仕上げる、コッペパンのようにパイ生地で甘辛の具材を挟んだ「コッペパイ」もおすすめです。

そんな中、今回おやつに持ち帰ったのは、「ゆーパイむ」というブランド名にちなんだ「Uパイ(ユーパイ)」。チーズ風味のパイをベースに、「チョコレート」はアーモンドを、「ストロベリー」はピスタチオとドライ苺を合わせています。「U」の形は、アルファベットとともに、世界中のさまざまな地域で幸運のシンボルとされている馬蹄型がモチーフ。「これからの日々に穏やかな幸せが訪れますように…」そう願いながら味わいました。

ちなみに「ゆーパイむ」という店名は、ただダジャレというわけではなく、“You Pie Me”と綴ったときに現れる言葉にもしっかりとした願いが込められています。「あなた(You)と私(Me)の間にパイ(Pie)があり、サクサクのパイを手に笑みがこぼれるように」と。

取材・文/甲斐みのり

この記事の詳細データや読者のコメントはこちら

関連記事:

提供元

OZmall(オズモール)
OZmall
会員数300万人の女性向けWEBメディア。OZmall [オズモール] は東京&首都圏の女性に向けた情報誌 OZmagazine [オズマガジン] のWEB版です。「心ときめく“おでかけ体験”を一緒に」をテーマに、東京の感度の高い女性に向けた最新トレンド情報を紹介しています。
会員数300万人の女性向けWEBメディア。OZmall [オズモール] は東京&首都圏の女性に向けた情報誌 OZmagazine [オズマガジン] のWEB版です。「心ときめく“おでかけ体験”を一緒に」をテーマに、東京の感度の高い女性に向けた最新トレンド情報を紹介しています。