実際には「ぺこぱ育児」なんて言っていられないことがほとんど
――『M-1グランプリ2019』出場後は、ぺこぱの漫才にちなんだ子どもを全肯定する「ぺこぱ育児」が話題になりました。実際の育児ではどう応用していますか?
松陰寺 SNSでも話題になっていましたね。いいな、おもしろいなと思っていたんですが、実際には泣きまねしている娘に対し、「涙出てへんやないか」とか、普通にツッコんでいます(笑)。僕自身、家にいる時間が限られているので、ポジティブに変換しないといけないほど、育児をしんどいと思っていない、というのもあるのかもしれませんが。
ただ実際の育児で子どもを全肯定するのは難しいですよね。歯磨きがイヤと言う子に「磨かなくてもいいだろう」とは言えません。
――歯磨きや寝るのがイヤ、○○を食べたくないなど、子どもが何かをイヤがるときはどんなふうにコミュニケーションをとっていますか?
松陰寺 オーバーなリアクションで興味を引いています。離乳初期のころですが、娘が離乳食をぜんぜん食べてくれなかったんです。それでひと口パクッと食べてみて「うっまっ! 何これ」ってすごくおいしそうにしてみたら、娘は「この人、これを食べたら急に明るくなったぞ」って思ったのか、そこから離乳食を食べだしたんです。
今も、娘が偏食でごはんを食べないときに僕がちょっともらって食べてみるっていうのをやっています。そして「え、このふりかけ、めっちゃうまいじゃん・・・もっとちょうだい」ってやると、「だめ! 私が食べるの」って急に食欲がわいたりしますね。
そのせいか最近、娘のリアクションも大きくて(笑)。この前、杏仁豆腐をあげたときも「んー、うっま、うっま」って、ひと口ごとにうなずきながら食べていました。
それから娘が嫌いな歯磨きをするときは、思いきり「イー」とやってみせて、娘がまねして「イー」っとしたらそのすきに磨いてしまう。泣いてしまうこともありますが、口を開けているんで奥歯を磨くチャンス。頭をしっかり押さえて、シャカシャカ・・・とやってしまいます。
――子どもをのせるのが上手なんですね。ではもしも、怒り過ぎてしまって落ち込んだとき、どう考えればいいと思いますか? 悩むママ・パパは多いのですが・・・。
松陰寺 うーん、反省してる時点で次は子どもとどうかかわればいいのかって考えていると思うんです。だからそんなに気にしなくていいんじゃないでしょうか。答えが漫才っぽくなっていないですけど、育児はきれいごとばかりじゃうまくいきませんからね。
どんな形であってもかわいい娘にずっと頼られていたい
――芸能界のパパ友とどんな話をしますか?
松陰寺 ハナコの岡部くんの息子ははうちより1学年上。年も近いので、現場で会ったときはお互いに子どもの写真を見せ合っていますね。「へえ、そんなことができるようになるんだ」って教えてもらったり。早く会わせたいねと言っています。
岡部くんには0歳のとき、お古でベッドを譲ってもらいました。うちの娘に合っていて、この上だとよく寝てくれましたね。寝心地がいいのか、のすけもしょっちゅう一緒に寝ていました。
――松陰寺さんのインスタグラムでは娘さんと三輪車でお散歩する様子がのっていましたね。
松陰寺 はい。変形するとキックスクーターになる三輪車で最近の娘のお気に入りなんです。娘は「ピンク」って呼んでいて、近所のお出かけはだいたいコレ! 保育園も「ピンク」で行きたいって言ってよく泣いています。
――最後に、娘さんとはどんな親子関係でいたいでしょうか?
松陰寺 娘が大きくなったら、自立した1人の人間として接しないといけないと思っています。理由は単純で、構いすぎて嫌われたくないから(笑)。お父さんのことが嫌いだっていう人の話を聞くと、しつこく干渉してくるからっていうのが多いんです。
今のうちにたくさんかかわって、いい思い出を残して、物心のついた娘に「お父さん、遊びに行こうよ」って言われたら全力で遊ぶ(笑)。年ごろになった娘に「○○が欲しいから買ってよ」と言われたら、「一緒に買い物に行くならいいよ」って返すでしょうね。財布になってでもずっと頼られていたい(笑)。そのくらい娘がかわいいんです。
お話・写真提供/松陰寺太勇さん 撮影/矢作常明 取材・文/中澤夕美恵、たまひよONLINE編集部
リアクションたっぷりに子どもとの毎日を楽しんでいる松陰寺さん。現実の「ぺこぱ育児」は想像以上に笑いにあふれていました。
配信: たまひよONLINE